久しぶりに再会した幼馴染は推しのVTuberでした
五月雨もがみ
第1話推しのVTuber御影八雲
12月31日午後22時37分推しのVTuberの配信が終了した。半年前に彼女に振られて以降は、毎日推しのVTuberである御影八雲ちゃんのライブ配信をリアタイしている。俺は別にぼっちではない友達もいる。でも、何かが足りない気がする。気がつくと時計は23時を少し過ぎたあたりになっていた。初詣に友達と行く約束をしている。
神社に着くと中学からの友人である、
「推しのVTuberを彼女にしたいです」
隣の二人から頭おかしいのかみたいな顔をされた。俺に残っているものは御影ちゃんしかいないので問題はない。一時間ぐらい喋ったのち二人と別れて家に帰った。眠い寝る。
1月1日の朝9時ごろ年賀状が配達された。年賀状の中に見たことのある名前が入っていた。
なんやかんやの冬休みは終わってしまった。始業式の日。外はくそほどさむい。雪が降っている。頭に雪が積もる。凍死する寸前で学校に着くことができた。席に着くとなんか眠くなってきた。
「白石沙也加です。北海道から引っ越してきました。よろしくお願いします」
「結城の隣の席が空いてるからそこに座ってくれ」
気づいたらいろいろ勝手に終わっていた。あと、なんか隣に新しい人がいる。誰だろうか?
「結城くん久しぶり幼稚園の時以来だね」
あれ?なぜか聞いたことのある声?頭の中が整理される前に言葉が出た。
「やくもちゃん?」
なぜか話しかてきた女の子は顔を赤くして焦っている。
頭の中でさっき言われた言葉がこだましている。ようやく理解できそうになった。やっぱり無理だった。頭の中に一つの等式が浮かんだ。白石沙也加=御影八雲=VTuberというものが頭の中でぐるぐる回っている。俺も頭の中が混乱していている。苦笑いが止まらないし、冷や汗も出てきた。笑えない状況なのにもかかわらず笑ってしまう。笑うしかないのだ。
相手の顔を見る。目が合わない。そして、目が合わない。沈黙の時間が流れている正確に言えば、周りの音はうるさい。しかし、俺の周りの空気は一切として動かない。動かすことが、許されない。
最初に口を開いたのは、沙也加のほうだった。
「やくもちゃんって誰の子とかな?」
「私、ちょっとわからないな」
このまま、知らないことにして進めていくらしい。むしろ、これ以上、やくもちゃんについて、触れることは許されていないのかもしれない。沙也加は、逆に強気な顔をしている。ここは、大人しく話を変えるのが正解なのだろう。でも、何を話せばいいのかまったくわからない。
結局、その日は、大した話をすることもできずに家に帰ることになってしまった。帰ってからのやることは決まっている。もちろん、勉強だ。学生として当たり前のことである。嘘です。勉強なんてほとんどしていません。物事は、すべてギリギリになってからはじめています。大事なのは、推し活です。オタクたるもの帰ったらとりあえず、手を洗ったのちアニメを見ます。常識です。アニメを見て、ご飯を食べていたら、時計は、七時半をさしている。やくもちゃんのライブ配信の時間だ。見ない選択肢は、あるのだろうか。いや、そんなものは存在しない。パソコンの前にはりつく。
「こんやくも~」
「御影八雲です。今日は久しぶりにあつまる動物の木をプレイしていきたいと思います。」
「音量等大丈夫でしょうか?」
「え~大丈夫。大丈夫。みなさんありがとうございます。」
俺が、やくもちゃんと呼んでいる、御影八雲はチャンネル登録者数5万ぐらいのVTuberだ。ある日、突然おすすめとして流れてきてその時に初めて見てハマった。毎日が、充実しているのはやくもちゃんのおかげだといえる。でも、まさか久しぶりに会った幼馴染が推しのVTuberだったとは、予想もしていなかった。しかも、沙也加のほうはVTuberであることを認めていない。明日からどのように接していけばいいのかが分からない。声は聞いてて分かるが100%同一人物なのがまた笑えない。
楽しい時間は、あっという間に過ぎてしまう、配信も終わりの時間となっていた。
「今日の配信も見てくれてありがとう」
「それじゃあまたね。おつやくも~」
勉強とか何もしていないが、これが俺にとっての日常だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます