【短編】今日も明日も

ティー

今日も明日も

(エロなしです。)




今日は快晴。

電車も遅れることなく、無事学校に到着!

ここは俺の幸せが詰まった場所。


「せーんぱーーい!」


その人の名を呼べば、当の本人は、げっという顔をする。


「千紘先輩ー!そんな嫌な顔しないでくださいよー!」

「するに決まってんだろ!近づくな!ボケ!」


俺の幸せ。

それが緒方千紘(おがたちひろ)先輩。

嫌と言いながらも、抱きついた俺を剥がさない。

あーーーーすきーーーー!!


「ねー先輩、今日帰りにカラオケいきましょー!」

「おう」

「終わったらすぐ先輩のとこいきますね!」

「おう」


素っ気ない返事だけど、嬉しそうなのを必死に隠してる先輩。

あーーーーーもう本当にすき!!

今すぐ先輩を犯したい!!

いや、我慢我慢。

先輩といつもの朝のやりとりをした後、先輩は毎回俺を教室まで送ってくれる。


「着いたぞ」


俺は聞いていないふりをするけど。


「おい」


先輩は俺を掴んで教室に放り投げる。


「じゃ、放課後な」


そういって、俺の元を去る先輩との別れを惜しむ暇もなく、ホームルームは始まった。



***



俺は今、最高に機嫌が悪い。

何故かと言うと、後輩であり恋人である高崎由宇(たかさきゆう)とのデートをクソ教師に邪魔されたから。


(服装くらいどうだっていいだろ…)


由宇の教室に向かう途中に、服装が乱れている!とこんこんと説教を受けた。

クソみてぇな説教が終わったと思えば、俺は今日日直だったらしく、日誌を書かされる羽目になり、気づけばあいつとの約束に1時間も遅れていた。


(LINEはしたけど…)


遅れる、と伝えたらOK!となんだかよく分からないキャラクターのスタンプが返ってきたので、恐らく教室で待っているはずだ。

ガラ、と由宇の教室の扉を開けると、俺の最愛の恋人が机に突っ伏して眠っていた。

顔を近づけると、嫌な夢でも見ているのだろうか、ギュッと顔を歪ませていた。


(俺以外のことでそんな顔すんじゃねぇ)


俺はその唇に軽くキスをする。

それに反応したのか、由宇が目を覚ます。


「あ、せんぱ…」

「よう、待たせたな。目覚めはどうだ」

「…さっきまで最悪でしたけど、今はとっても幸せです」


へへ、と微笑む可愛い恋人。


「おらとっとと起きろ、カラオケ行くんだろ」


あえてデートとは言ってやらない。

寝起きすぐの恋人をよそに俺は教室を出る。

待ってー先輩ー!と後ろから聞こえる声を聞きながら。


(今日も明日も由宇との平穏な日々が続きますように)


なんて柄の無いことを思いながら、校舎を後にした。

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