第3話 勇者捕まる
「ちょっとちょっとちょっと!!
エリザ!勇者と結婚するってどういうこと!
城まで半壊させちゃうし!」
もはやカッコつけなくなった魔王は蝋燭の
明かりが照らす石階段で前を進むエリザローズに
向かって声を上げた。
「あら、そうでしたっけ?」
「そうでしたっけ?じゃないよ!
この裏切り者ぉっ!」
「お父様には悪いですがわたくし……
グレオル様のお顔を見た瞬間感じましたの。
運命というものを……」
頬を染め、乙女の顔をするエリザローズに
エリュクシュエルは恋とは娘の性格をも
変えるのかとゾッとした。
「とにかく!
結婚なんて断固反対!!
お父様、許しませんからね!!」
「お父様の許可を得ずとも
何が何でも結婚してみせますわ。
わたくしは欲望に忠実な悪魔ですからね」
何とも厄介な女に目をつけられたものである。
「エリザぁぁっ!」
エリュクシュエルは振り向かないエリザローズの
固い意志を感じため息をついた。
こうなると娘はてこでも動かない。
水が滴る地下につくとエリザは魔法で
明かりを灯した。
「グレオル様、わたくしと
結婚してくださる気になりましたか?」
「くっ……。エリザローズ……。
この手枷を離せっ!!」
天井から吊り下げられた手枷を外そうともがく
グレオルにエリザローズはクスリと妖艶に笑った。
「外そうとしても無駄ですわよ。
その手枷には二重に施錠の魔法を施してありますし
保護魔法で絶対に壊れないようにしていますから。
あ、あなたがわたくしと結婚してくださるなら
話は別ですが」
誰かこのヤンデレ女を止めてくれ。
「……何故そこまで俺にこだわるっ!!
俺は勇者でお前は悪魔だ。
決して交わってはいけない存在だぞ!!」
「あら、それがどうかしまして?」
エリザローズはきょとんと首を傾げる。
それにグレオルはえ?となる。
「愛に種族など関係ありませんわ。
好きだという気持ち。それこそが
重要なのではないですか?」
普通の少女のような優しい笑みに
ドキッとしてしまう。
ま、まあこんなに可愛いなら結婚してあげなくもな
「ああ、あなたが愛おしくてたまらない。
今すぐにでも食べてしまいたいくらい……」
撤回!!!
可愛くても結婚は無理!
涙目のグレオルの心情を察したのかエリザローズは
ふふふっと笑った。
「結婚をしない、と言うのなら……
そうね……。あなたを殺して、まだ温かいあなたの
心臓を食べてしまおうかしら。パクッとね♡」
怖っ
一瞬怯んだグレオルだったが僅差で正義が勝った。
「し、しかし! 師匠を殺し民を
苦しめたお前を許すことは」
「あら、残念」
エリザローズは立ち上がり
冷たい目をグレオルに向けた。
右手には黒い炎が浮かんでいる。
「ああああっ!!!!
します!! 結婚しますっっ!!」
その瞬間黒い炎は消え失せエルザローズは
顔を輝かせた。
「ホントですか!
じゃあ早速結婚式について話し合わないとですね?
グレオル様っ!!♡」
その様子を陰から見ていたエリュクシュエルは
ウチの娘怖い……と呟いた。
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