KILL BY EATING LIGHT NOVELS〜異世界食葬〜

小桜八重

プロローグ

獣ノ耳

「こ、ここは!? 私の家?」


「あらっ、やっと目が覚めたかしら? 私、もうお腹ペコペコよ?」


 目を覚ました少女の背後から、もう一人の少女が声を掛ける。


「私は今迄、何を? 寝てたの?」


「私があなたを眠らせて、街道からお家まで運んであげたの」


「か……身体が!? う、動か……ない」


 犬の獣人の少女はテーブルの椅子に後ろ手に縛られて座らされている。


「今のあなたには、目と口しか動かせないように、パラライズの魔法をかけてある。感覚も麻痺していて痛みも何も感じないはず」


「あなた何なの? 何がしたいの? 私に何をしようとしてるの!?」


「あら? さっきも言ったでしょ? 私はあなたと食事を楽しもうと思っただけよ?」


 人間の少女が犬の少女の背後から顔を出し、その横を通ってテーブルの反対側にまわり、面と向かい合うよう椅子に腰掛けた。


「え? あなたの頭、それにその耳……さっき、出会った時、あなた人間だったはず」


「アッハッハッハッハッハッ! ねぇ、素敵でしょ? あなたの耳と一緒よ! じゃあ、あなたの目も覚めたことだし、一緒に乾杯といきましょう!」


 人間の少女はテーブルの上に用意していた、細長い鉄製の管をハートの形に造形した物体ナニカを手に取って立ち上がる。


 中心のハートから、先の丸まった柔らかい二本の長い管と針のように先の尖った鉄の筒が一本伸びている。


「これはストローと言って、ドリンクを吸って飲む道具。先が二つに分かれているのは、二人で一つを一緒に飲める様に。これはね、あなたが眠っている間に、私の力で特別に創り出した物なの。あなたの為なのよ。さぁ、そちらをあなたが咥えて。此方は私が咥えるわね」


「でも、乾杯って? 飲み物は何処に?」


 再び犬の少女へ近づき、隣に立った人間の少女は先の丸まった長い管の片側を犬の少女の口に咥えさせた。


 そして、もう一方の丸まった長い管を左手で持ち、自らの口の前に添える。


「それでは、準備もできた所で乾杯と行きましょう!」


 右手に針のように先の尖った鉄の管を力強く握りしめ、犬の少女の頭上へと振り上げる。


「チアーズ!!」


 人間の少女は乾杯の音頭と同時に犬の少女の頭に向けて右手の管を振り下ろした。


「へっ!?」


(チュウチュウ……チウチウ……ゴキュッゴキュッ……ゴキュゴキュ……ゴキュリ!)


「あ〜ん! 美味しい〜! こんなに美味しいなんて! あなた! 創造以上だわ! これは! この味はラノベ風に言うならば! そうね! Sランクよ! 塩っぱいけど、決して鉄臭くない! トロッとして舌触りもなめらか! Sランクの脳汁よ! あなた! 最高だわ!!」


 人間の少女は恍惚の表情を浮かべ、歓喜に満ちた声を上げる。


「さぁ! あなたの脳汁よ! 遠慮することないわ! 沢山飲んで! さあ! 吸うの! もっと吸って! 毒者読者の皆様に! かわいいケモミミ美少女の無様な姿をもっと晒して差し上げるのよ! ホラ、チュウチュウ! ホラ、チュウチュウ! 吸えーーーーーーーーーーーっ!」


 犬の少女の頭部は額から上の頭蓋が切り取られ、脳が露出し、その中心に先程のハートが突き刺さっている。


 少女は白目を剥き、赤い涙を流しながら、ドロドロと鼻血を垂れ流す、だらしなく開いた口からは涎を溢し、加えていたストローを落として、キモい表情でアホみたいな声を漏らす。


「アバッ……アバババババ……アベッ……アべべべべべ……ブヒィ……ブヒィ……」


「アハッ! アッハッハッハッハッハッ! あなた最高よ!!」


 人間の少女は犬の少女の頭部から切り取った皮を頭に被り、獣耳ケモミミを生やして、顔面を少女の血で紅く染め、脳を啜る。


「気持ち悪い異世界ラノベの毒者の皆様も、きっと今頃、あなたのそのだらしない、ブサカワイイ表情を想像しながら、ゴシゴシ、モゾモゾなさって、シッポリ、スッキリ、気持ち良くなっていらっしゃるわ!!」


「ヤベッ……ヤベべべ……デデデ……ヤベデェェェ……ヤベべェ〜〜〜〜〜」


「アッハッハッハッ! ざまぁ! これがざまぁって奴ね! 確かに最高だわ! ケモミミざまぁ! 最高よ! ラノベざまぁ! 確かにこれはサイコーに気持ち良いわね! ざまぁ最高!!」 


 七重は満面の笑みで、異世界の初夜を朝まで踊り過ごした。


 全身をビッチビッチ震わせ踊る、かわいいケモミミ美少女の活き造りと一緒に……。


「ざまぁみろっ! ラノベ毒者! アッハッハッハッハ!!」

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