君は友達

 朝日アサヒはふっと気づく。

 時間がイス取りゲーム前の時間に戻っている。

 つまり“現在”→“過去”→ちょっと前の“過去”

 と時間が巡っている。


 

「はあ……はあ……あん? ん!」



 朝日アサヒは、ふと気づく。



 悩む朝日。

「………………………………」


 

 この時、問題はその前イス取りゲーム前に、一人の女の子が木陰で休んでいるのが見えた。


  

 (なんだよ次から次へと)

 

 

 だが、何やら様子がおかしい。

 泣いているようにも見える。


 

 (んだよ。どしたんだ?)



 近づく朝日だが、やはり様子がおかしい。


 

 近くに父親だろーか? その女の子は彼の肩を揺さぶるが座ったま動かない。


 

 女の子は泣きながら呼びかけ続けている。


  

「……ん…さ…お……とさん」

 (なんだって? ……お父さん? おい反応がないぞ)


  

 朝日アサヒはすぐに彼女にかけより。

 咄嗟に破散――ぱちんっ彼女の背中を、を叩く。



 朝日が女の子に言う。

  

「おい!! しっかりしろ。いいか? よく聞け」


 

 今の朝日アサヒよりは少し年上だろうか?? 女の子を落ち着かせる。

 


「この人は父親か??」



 女の子は泣き続けてる。


「……グスン……グス……うぇ……ん」


 とりあえずだんだんと落ち着いてる女の子を横目に朝日アサヒは父親らしい人を触診し確認する。



「……っ!?」


 

 父親を触診し驚いた朝日だがそれが気取られないように僕は、女の子にを取ってくるからと席を立つ。


  

 ……駄々打ッ打ッ打…………


  

 ――ダッダッダッ


 ダッダッダッ


 朝日は走りながら状況、確認する。

 


 ……駄々打ッ打ッ打…………


 

 ――ダッダッダッ

 

「脈、呼吸がない? AEDだ!!」


 

 ダッダッ――ダッダッダッダッダッダッ


 

 最近出来たAEDを求め走る。


 

 ――ダッダッダッ


 

 僕は走り走りそして……



「!? …………はあはあ……ああ……よし!!」


 

 朝日は息を整え。

 

「見つけたAED」


 

 なんなら運動会より早かったかも、彼女と父親の元に僕は再び戻りはじめる。



 ――ダッダッダッ


 

 (あ、電話だ。救急車)


 

 僕は母親に持たされた携帯を初めて開く。

 

 

「119」

 

 ボタンを押す。


 

 鳴らしだす電話。

 ……ルルルルルル〜ガチャっ

『はい事故で……』

「救急車です。場所は〇〇で人混みに目立つと思います。あっ待ってください今、自動販売機に住所が……零―二です。その近く!! 患者状況確認お願いします!! いいですか? 倒れてる方は男性で、〇十代、意識なし、脈は触れません!! 心停止に近い状態です。こちら、……え!? そちら改めて確認します。はい……はい。その近くです!! すみません子供二人しか居なくて現在対応できてません。AEDを見つけたので使います。 対応するので、電話繋いだままお願い出来ますでしょうか??」



 朝日は携帯をスピーカーにする。



 戻ったアサヒは状況を確認しつつ、あたふたしている女の子に話しかける。


 

 (周辺は、うん。人は何人かいるが混んでない)


 

「おい!! しっかりしろ」


 

「う……うん」

 ゴソっとあるものを自分に渡す女の子に気づく。


 

「っ!? おい……それは」

 僕は心で驚き呟く。

 (頭や心機能、呼吸器じゃない……糖尿病だ)


  

 僕が何故? 糖尿病と思ったか? それは彼女の手にして居た物に答えがあった。

 彼女が持っていたのは注射器であり、恐らく”ノボラピッド液剤”だろう。


 

 糖尿病……ノボラピッドはインスリン注射薬。

 血糖値を下げる為に、本人が打てばいい。

 だが……この時、この時代では注射は本人。

 もしくは家族しか使用できなかった。

 


 (それに、打った後? 前か? はっ!!)

 


 僕は気づく。

 (その前に心臓だ!!)


 

「おい!! とりあえず心臓だ」

 女の子に呼びかける。


 僕は彼女の父親を座った体勢、座位から上半身を横、仰向け、横と膝の支点を使いながら手慣れた手順で脱がす。


 

 上半身が露わとなった彼にAED措置を始める。

 


  

 不安な彼女に僕は申し訳ないが煽る。

 

 (僕はわかって、煽ってる。だけど、しっかりしろ)


 

 朝日は改めて落ち着いて来た女の子に尋ねる。


 

「おい!! 君はこの子の娘か? 間違いないな!? よし。呼吸の確認!! 顔に耳を近づけ聞いて。胸や腹が動いてるか確認しろ」


 

 不安そうな女の子は頷く。

 (ちっわかってるけど。このままだとこの人が死ぬ)

「目線は耳を当てた先だ逆だ逆!!」

 (すまない。言い過ぎた)



 彼女は言う。

「でも緊急車」

 朝日は言う。

「そんなもん、もう呼んでるんだよ!!」

 朝日は走ってる際に救急車へ電話してる。


 

 繋がるき救急電話先、ひっぱくする子供だけの現場。

  

 緊張感。

 

 


 

 どうしたら、いいか悶える彼女。


  

「うう……あ」 

 震える彼女の手は…… 

 (ちっ)

「俺と手を繋げ!!」


  

 両手と両手で恋人繋ぎにする。



  

「胸骨圧迫て知ってるか?」

 

 ブンブンと首を振る彼女。


  

「じゃあ、あんたがたどこさは?」

 彼女は首傾げに言う。

 「……わか……ない」


 

 (クソ時間ないのに……なら)

 

「ならトイ・ストーリーは!?」

 


 彼女は震えながら、頷く。


 

 (知ってるとこまでやったらAEDだ)


 

 僕は震える彼女の手を一緒にそえ、ドン! ドン! とリズムに合わせて歌いながら心臓マッサージを誘導する。


 

 (……恥ずかしいから早く救急車を)


 

 心臓と身体を繋げるように歌う。


 

 ――ドン! ドン! ドドン ドドン

 ――ドドンがドンっ!!


 

 歌い出す朝日と小さな彼女。

 

「俺がついてるぜ……」(俺がついてるぜ)


 

「辛い事ばかりでも、君はくじけちゃ駄目だよ」

 ……

「思い出せよ友達を、君のすぐそばにいる」


 

 ウー……(サイレンの音)


 

「いつも俺がいる」

 (近づいてくる)ウーウーウー

 ウーウーウー

 救急車の音だ。

 目の前まで来る。


  

 朝日は思う。


 

「だあー……はーはあー」

(俺なんか、色んな意味で助かった)


 

 緊急隊の一人が言う。

「早くのせろ」

『イチ、二、サン』

「はい乗せました」

「ご家族は?」


 

 振り絞る声で小さな彼女は言う。

「私です」

 

 ウー……

 

 そこで彼女とは別れ。


 

 救急車は走り出しアサヒは背中を向け歩く。

 ウーウー(サイレンが遠のく)

 ……

 アサヒは自分を落ち着かせるように歌う。

「俺がついてるぜ」

 (俺がついてるぜ)

 ……ウーウーウー

「……ふふーんふーふーふん」

 (なんだよ。サイレンがコーラスみたいだ)

 ウーンウーウーン

「悩み抱えていても、君は秘密にしちゃっ駄目だよ?」 

 彼女の泣き声とサイレンの背中を受ける僕。


 

 (ははっ大丈夫やれる事はしたんだ)


 

 本当に自然と不意に笑みが溢れるアサヒ。

「……あてにしろよ。友達を君のすぐ、そばに」

 

(いつも俺がいる)

 

 珍しく自然の笑顔に震える自分の手を触れながら。

「俺よりも、すごいヤツはたくさんいるよね」


 

 (そっか、ほっとしたんだ。緊張したんだ)

 

 

 ウーウーウーウー

「だけど俺よりも君のこと、気にかける奴はいないよ」

 響き渡るサイレンはもう遠く。

「時が流れても、変わらないモノ」

 僕の見送る背中を後に……

「それは、俺たちの絆」

 見送られる背中にそっと音のなる方へ小指を立てて『ゆびきりげんまん』

 最後にワンフレーズ。

「君はともだち」

 

 ……いつも俺が居る。




 

 …………

 

 ……

 ガタガタガタ!!!!

 ……

「ぶぁーおっこいっっしょ!! 寝かぶっとったー」

 (地震か!?)

 今いる場所、相談室に戻る相談員の朝日。



 

「何処の言葉? 方言ですか??」


 

 小鳥遊さんが、相談室で声かける。


 

「え? 方言熊本? ……ほへ?……えーと」

 

 夢の続きがくしゃみで飛んだ。

 アサヒはモヤモヤとしなが考える。

 

 (あーなんだけ、えーと)


 ……

『君のそばに』

 小鳥遊と声が揃う。


 小鳥遊先生が言う。

「トイ・ストーリーですよね? あってます?」


 驚くアサヒ。

「は?、」

 ……

 (やばいやばい寝言言ってたんだよな。きっと)

 朝日はそう思う。

「あ、そ……」

 小鳥遊さんは首をフリフリとアサヒの話を遮り。

 ですよねと続け。


  

 朝日は朝日で机の前の二枚の絵に気づく。


  

 (うわ、これ、どっちも救急車?? 寝言マジ言ってたわー恥ずかしい。誰だろう)


 

 ちらっと


 小鳥遊先生を覗いて……聞こうとした『絵の事』

「こ……これ」


 タイミングよく相談室の扉が叩かれ人が入ってくる。

 ――コンコン

 ガチャっ

『失礼します』

 

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