道の小石に僕らはつまずく。
おのんのんの
オワリはじまり
『僕らの記憶はどこから、つなごう』
……
「もうすぐ、今日が終わる。やり残した事はないかい? 親友と語り合ったかい? 燃えるような恋をしたかい」
ふふんと鼻歌まじりに歌うアサヒ。
「なあなあ」
友達が声をかける。
相変わらずマイペースなアサヒ。
「一生忘れないような、出来事に出会えたかい? かけがえのない時間を胸に、刻み込んだかい?」
「るるーるる、るるーふーん」
歌を楽しむ朝日に友達が言う。
「おい! アサヒ。なんだよ楽しそうに歌って。俺にも教えろよー!! このこのー」
ぐいぐい押す友人、彼は僕の唯一の親友だ。
「なんでもないよ。最近TSUNAMIで、CD借りたんだ。てっよせってチャリがっ」
二人は自転車に乗り。
並列してふざけ合う友人達。
「おい!! かっちゃん!! ……あぶねー」
親友の名前は勝久、かっちゃん。
「今度さ、すぐMD持って来るから移させてよ」
思い出したように話しのネタを振るアサヒ。
「はいはい。えーと実はさ最近同じ夢みてて」
「お!! いいじゃん夢とかすぐに忘れるのにな」
そりゃそうだな……と、続き話し始めるアサヒと、エロい夢か?? と食い気味に来るかっちゃん。
あえて黙った雰囲気のまま、自転車だけか進む。
〜アサヒの夢の話〜
僕は精神科医、そして養護教員になった。
そして、幼少期、母が、救命看護師と言う事もあり。
その何故が? 医療学の本が玄関の上がり先に沢山合った。
祖父の趣味らしい。
僕が生まれる。
三年前に亡くなったらしいが、僕は何度がお会いした。
どこで? 夢の中。
厳しい方なのを覚えてる。
多分、じいじの趣味かな? 腎臓も悪かった見たい。
だが僕の小学生の自由研究に、ずいぶん役に立たせてもらったな。
と、僕も筆を落とす。
かっちゃんは言う。
「その?? からのーだろー?? 筆下ろして……お前まさかーー!!!! 聞かせろーーー」
そこからは……本気と書いてマジ。
(大変だった。やっとまいた。はあはあ……)
「…………」
「あいつ……かっちゃんの通学路が、うちの家よりも、先な件が、いけないんだ」
(やだライノベタイトルみたい)
「はああ」
疲れるアサヒ。
話にはまだ続きがある。
アサヒは思いだす。
破いた紙を貼り合わせるような作業だ。
(で……えっと)
……
ある学校の保険室。
少し綺麗になったが僕の母校だ。
「キノ……ア……明野先生! 〜」
保険室の、先生が声かける。
「ああ、はいはい」
「あんな挨拶じゃ……生徒達が保険室怖くて来てれないです」
(あん? 挨拶?? あ、無理。俺、人苦手。一人も来なくていいし)
「はあえーと。はい。俺とりあえず職員室行ってきますね」
ガラガガラー
保険室の扉を開け職員室に向かう。
…………
ここは夢の世界。
職員室に進み行く歩くでは無く。
アサヒは新任教員挨拶の壇上に時間が戻る。
「明野先生」
校長か教頭か忘れたが呼ばれる。
(なんだ? さっきのは保険室? 時間戻ってる……夢かなんだ?? くそガキどもと、ウエーイてか? あーめんどくせ)
マイクが無い。
(おいマイク)
だが改めて中指立てて。
無いメガネフレームを触るように言う。
(メガネも無い。あーコンタクトに変えたんだっけ)
「コホン。あー……あったー!!」
マイクが見つかる。
そのまま夢の中だからとアサヒは話しを続ける。
『あーおけおけ。明野だ。よろしく……相談員をする事になった。はあーあ……』
大きなあくびをするアサヒは適当な挨拶をして行く。
『はああーあーと!! なんかあったら緊急車呼べ。――911な。ナゾナゾだ。わかった奴だけ。相談こーい』
えー、や、なんでーの言葉、ザワザワざわざわと
声が広がる。
『119ですー』
何人か解ったグループのやつらが、答える。
「ぶーーー」
アサヒは言い落胆する生徒達の声。
「正確には、ざわざわしたから。『カイジ』です!!
一と二は必ず見ましょう。て、知らねーか。ははっ」
ははははと続くアサヒ。
クスクスと男性の先生に、まあまあウケてる。
正解では無く。
正確にはと言い回したのもアサヒらしい。
そして、ざわざわを静めるように、マイク片手にアサヒは言う。
『ワアワア!!』
斤
キーーン
……
『聞いてる聞こえてるー?? アー、マイクチェック。ワンツーワンツー!! 聞こえてねえのかよ』
『ウド鈴木と天野ひろゆきの十八番は』
バーーーン!!
斤!!
キーーンと再々響き渡る。
(やばい、俺プロレスラーみたいじゃね?)
その空気で誰もキャイ~ンを知ってても出来ない。
アサヒは改めてマイクをポイっと放り広げ投げ。
――投、轟!! ゴーン!! 斤キーーン!!
マイクを使わずに腹の底がら大声で叫ぶ。
……
「あん?? じゃあ、トイレで飯食ってるやつ。物、金盗まれるやつ……イジメを疑問に思うやつ。……あー忘れちゃ行けねえ。手元に刃物あるやつ。自分イカしてイカレて見られたいんだろ!? 好きにヤレヤレ以上だ」
ざわつく全校集会。
……
アサヒは再び突然マイク拾い。
発表台に叩き着ける。
(うるせーよ)
と、叩き続ける。
怒断!! ドドドーン 砕!! ガンっ…
斤、キーーン……
発表台を前に、ガンガンっ殴るマイク。
(これぞガンマイク)
……
斤ッ
キーーン
キーーン
……
(アラレちゃんか)
あと一回したらマイクとして機械は壊れるだろう。
「やれんのかーい。来れるもんなら、来てみろ。俺は一人だぞ!??」
生徒はもちろん、先生も? マークで思う。
(ざわざわ)(ざわざわ)
(何の話だ?? 一体……意味不明だ)
それでも、明野先生は続ける。
「それとも、てめら親のスネカジリか? イイアジ出そうな鎌倉は糞か!? おい。 歴史好きは声あげろ」
……
『おええーーーー!!!!』
「は?」
カチャンとマイクを閉じるアサヒ。
一人の女子生徒が吐いた。
(ストレス? 食あたり? 生理痛? 大丈夫か?)
明野朝日は人知れず心配するが、自分を主体に話し中だし今ここを動くに動けない。
先生達は、あからさまに、動いている振りをする。
『……………』
(ちっ先生は近づく振りして。子供は誰も心配して動かねえのかよ)
「お前らの気持ちは解った。ニワカ、ワカメ。こっちの方が出汁とれそうだな?? お前らのニックネームだ」
「そそ!! んな」
誰かが口開き。
周りを巻き込んで行く
『そんな!!』
「なら、俺に自己紹介してこい。その口は飾りか?」
子供達は新任の教員、アケノアサヒに『怖い人『変な人』』のイメージが付いていて何も言えない。
(あれれー)
「最後に」
(何も言わないのは、顔が怖いからかな??)
朝日は再びマイクを手にして。
『イイダシて、うまそうな。イイアジでそうな……!?ん……誰かー? 醤油ラーメン作って来い。家庭科教室はあっちだぞ!! ぎゃはははは』
パシリだ。
誰も行くわけでは無い。
反面教師だ。
『お前らは、こう言う人間だと』
そう言って朝日は外を指指すのだった。
(あ、さっき吐いてた。子は、保険室かなんかに連れて行かれたな。一安心)
……
夢から目覚めた? 現実感を覚える。
アサヒは思う。
夢の中でのアレやソレ、コレを言わなくて良かった。
ほっとする。
そしてアサヒは壇上に登り普通にただの挨拶をする。
『はあ、明野です。相談員として来ました。一応ここは私の母校です。よろしくお願いします』
鋭い人相に短い挨拶これがアサヒの普通の精一杯だ。
『………………』
黙る生徒達、罵詈雑言や冷やかしの言葉は無い。
(とりあえず一安心だ)
――ガラガラ明野は保険室の扉を開ける。
タダッタ……
保険室から、走り抜ける子供。
「はああ……」
(俺の顔かな?)
いつのまにか後ろに居た体育の女先生が声をかける。
「明野先生が怖いからかな? 逃げるように出ていけましたね。野呂さん」
「わああ!! びっくりした。のろ?? ……ああ、集会中に吐いちゃった子供ですか?」
「そうですよ。野呂さんです。四年生に上がったばかりで緊張しちゃったかな??」
(そんなのあるか?)
アサヒは自分の記憶を振り返る。
(そういえば今日の夜中、かっちゃんとお酒を呑んで居て。温泉行ってから、フルーツオレを三本くらい飲んで夜中に寝ながら……うっぷ……吐いたな……気持ち悪)
女性の体育教師は話しを続ける。
「もー明野先生! 笑顔ですよ笑顔! そして子供達が出しているサインを見逃さないように」
「あん? え…………どなたでしたけ?? えーと貴女は」
「小鳥が遊ぶで、
「小鳥遊さんすいません。カワカッコイイ名字ですね」
アサヒは見た目こそ怖い感じだが、話すと気さくだ。
壇上での、夢の挨拶は若気の至り。
チャラついた危ない関わりも多かったから出た空想。
……だったのろう。
「ふふ。もうなんですか……かかか…ふふ……もう」
「えーとどしたんです!?」
「…………」
急に笑ったと声をかければ、不思議と黙る小鳥遊さん。
(は?…えっと)
小鳥遊先生の笑いのツボに入ったのか? しばらく様子を見てたが、小鳥遊先生は真面目な顔をして続ける。
「……保険室て学校の中でも。特別なんです……困ってる児童が怖くて来られないような事だけは、それだけはお願いします」
……
そして野呂がまた、授業中に吐いたと俺は見に行く。
(マーライオンか!? あいつは)
片付けする皆々。
(理科室か、今度はちゃんとやってるが……さて)
アサヒが声をかける。
「のろ!!」
皆が反応する。
『先生』
(君らの名字は全員のろ、かな? 名前一から覚え直すな。すいませんせい。て、お前ら邪魔だ。用があるのは……)
「居た」
外野がうるさい。
「アケノ?」「あきらじゃなかった」「シンヤは覚えた」「アサヒよ!! アケルアサヒ」「綺麗な名前」
(
「野呂大丈夫か?? 吐き気はまだあるか??」
「大丈夫……です。横になれば……」
そしてアサヒは外野に、向けて声をかける。
破ン破ん!!
アサヒが手を叩く。
幸せだから、じゃない。
「おい。皆、掃除辞め」
(クソガキメンディー)
汚物を片付けてた、優しい子達だろう。
アサヒと小鳥遊さんに言う。
「え」『いいのか??」『でもー??』
……(でも)
(男子と女子グループにすぐ別れたな)
アサヒは冷静に一言。
「誰か一人、野呂の付き添いで来てくれ」
「じゃ…が、じゃが!! 私が」
(あん? じゃがじゃがてお前はお菓子か!?)
付き添いに手を上げた子供は、いかにも委員長て感じで黒髪おさげの三つ編みに眼鏡の女の子だった。
「わかった。野呂は俺が支えるがら。保険室まで見守ってくれ。帰りに渡したいものがある」
そう話しながら渡り廊下を歩き、一階突き当たりの保険室に着く。
――ガラガラ
(誰も来てないな)
アサヒは野呂に言う。
「よし、野呂一人でベッドに横になれるか??」
「……は、はい」
野呂が横になるのを見守る。
「ここまでありがとう。えっと君は……」
「や……とな……こ」
「え?? 名前なんだって!?」
「大和撫子です。……すいません」
「すいません? て、何が? お前らしい名前だろ」
ヤマトはポッとする。
「え?? ……」
アサヒは思う。
(ヤマトじゃがりこ。ぺきかんの完璧だ)
「とりあえず、ここまではありがとう。状況聞かせてくれるかい??」
ヤマトの説明では、野呂さんは、ここのところ調子が悪く病院にも行ったそうなのだが、教室内。
今日の全校集会。
そして理科室と吐いたそうだ。
(感染性……ウィルスや細菌の可能性は低いか)
「あ、そうだ。これを」
そう言ってアサヒはティッシュケースの様な物を大和に渡す。
「これは??」
「一応、ビニール手袋。ウィルスや細菌の可能性は低い。だが戻って掃除に使いなさい。それに触った奴も居るだろう。念の為にな」
そう言って保険室のアルコールスプレーもヤマトに渡す。
「あ、はい。ありがとうございます」
「こちらこそ。ありがとう。後は様子を見て野呂と話すから先に戻ってて」
……
「は、はい失礼します。あ!! 醤油ラーメンのスピーチ最初はよく分かりませんでしたが、ジョーク面白かったです」
(醤油ラーメン……え!?夢の中じゃなかったの?)
「……お、おう。醤油ラーメンだからかな? 朝飯前だ」
「ふふふふ。はい。失礼します」
――ガラガラ
大和撫子が出て行く。
アサヒはベッドに横になる野呂に言う。
「あのな、野呂。朝の全校集会覚えてるか?」
「…………はい」
アサヒは確信があるのか的を着く質問をする。
「周囲の人間が、お前の病気を知らないことで、それで、どれだけ他の人々を苦しめたか自覚しろ」
静まる保険室。
「はい……私出ていきます」
(おっちょ待てよ……)
気まずい雰囲気を和ませるようにアサヒは言う。
「キムタ……コホンコホン、野呂? わかっているのか」
逆に気まずい雰囲気になる。
「いいえ。それでも分かりません」
保険室から出て行こうとする野呂に声をかける。
「おい、野呂……」
「…………」
野呂を引き留め最後にと話を続ける。
「これ書いてくれるか?」
簡単な自己診断書。
だが、野呂は書かない。
……アサヒは重い口を開く。
「お前が困ってるなら、その原因を見つけて取り除くのが俺の仕事だ」
ピクッと反応するが黙ったままの野呂。
「ッ…………」
困ったアサヒは保険室にあった人形で話しかける……
(子供だましだが、まあいい)
「ンンッお名前なあーに??」
声を変えるアサヒ……変だ。
「…………」
「〇〇ちやーん話してよー貴女は誰ー!?」
「野呂……佳代子」
「佳代子ちゃんかー何処か具合悪いのかなあ??」
「うんうん悪くない」
(じゃあ勝手に保険室で寝るなよ)
アサヒ人形をつかいながら話を続ける。
「お話の続きを聞かせてくれないかい?」
野呂は言う。
「信じてくれるの?」
アサヒは人形を使いコクンと頷き。
続けて言う。
「少なくとも最初から疑ってかかることはしないよ」
野呂は黙ってしまう。
「…………」
アサヒは人形を横にポンっと置き。
地声で一言。
「まあ、話したくなったら話せ」
その声は優しさ、本当に心配しているような切実な一声だった。
「…………」
そして野呂は重い口を開けて。
ゆっくり一つ一つと言葉を繋ぐ。
「友達との約束破って先生困らせた」
(約束 友達)
野呂は続ける。
「私なんて……私なんて……何処にもいないほうがいい」
野呂は抱えてる話しをする。
それが一片でも、全てでも、アサヒは聞く。
アサヒは前に出していた、人形を自分の横に撫でながら隣同士に並べて。
野呂と顔を向かわせ、改めて話しだす。
「俺は相談員だ。周りの事、全ては俺にも分からない。それでも、こうして君に向き合う努力はする」
野呂の悩み。
自分の場所が無くなる。
いなくなりたい。
そして、吐き癖。
教室
全校集会
先生との約束。
友達。
それが、野呂から聞いて。
アサヒが見て感じた客観的な意見の集まりだった。
アサヒは思う。
(予想はつくが……)
アサヒは野呂に「ただ、」と言葉を続け。
「それは、お前自身になら変われるんじゃないか??」
……
なんの事だろう。
野呂との会話の内容からくる言葉なのか??
アサヒは続ける。
「いつ誰に、その時が来るか分からない。お前が思ってるより何倍も人は脆いんだよ」
ぐすんぐすんと泣く野呂にティッシュ……
(が、ない!)
仕方なくトイレからトイレットペーパーを渡し謝る。
――方々
――雑、ゴソゴソ
「すまんな。まだ、慣れなくて」
野呂は先程とは違い少し気が晴れたように言う。
「また、ここに居てもいい?」
はあ、と一息しアサヒは言う。
「保険室が駄目ならな?」
……
「嘘は嘘でも正解だ。いつでも来い。ナゾナゾ正解者第一号だ」
そう言って野呂に微笑むアサヒだった。
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