第8話:使い魔エリザベス。
そうこうしてるうちにお父さんが帰ってきた。
居間のソファに知らない青年が座ってるのを見て、お父さんの頭の中はクエスチョン
マークだった。
今日あった出来事を、またお父さんに説明しなきゃいけなくなった。
最初はお父さんも、ちょっと驚いてたけど元来SFとかファンタジーとかオカルトとか、そう言うジャンルが好きなお父さんは、ライトが魔法使いだと知って大いに
興味を持ったみたい。
ぜひ魔法が見たいって・・・・。
ライトは簡単な魔法をお父さんに見せた。
「イデーヨルルツカイーマ」
ライトがそう言う胡散臭い呪文を唱えるとテーブルの上にあったコーヒーカップ
から、なんと黒い猫がニュ〜って頭を出した。
お父さんは・・・目を丸くして驚いたり感心したり・・・私やお母さんだって、
びっくり。
「みなさん、ご紹介します」
「この黒猫のような生き物は猫に似てますが猫ではなくてワッフルって言う種類の
生き物であり僕の使い魔、エリザベスです・・・」
「彼女のことは愛情を込めてベスって呼んであげてください」
コーヒーカップから出てきた黒猫に似た生き物はニャ〜ってひと声鳴いてコーヒーカップから飛び出してきた。
今、ニャ〜って鳴いたけど猫じゃないんだ・・・。
ベスは漆黒で色艶のいい毛並みの上に、瞳の色がブルーでとっても美人さんの
猫ちゃん・・・みたいな生き物だった。
「使い魔って・・・コーヒーカップから出てきたよ」
「コーヒーカップは言わば、呼び水のようなもの」
「コーヒーカップを介してベスを召喚したんです」
「ベスは言わば、僕の月や家族とのコンタクト、または情報収集、伝令の役目を
担ってくれてます」
「僕同様ベスもこの家で、お世話していただけたらと思いまして・・・」
ってことで、否応なしにベスちゃんが家族に増えた。
「他にはベスは僕がいない時の、ご家族の守護も担ってくれると思います」
「ベスの本当の姿を見たら納得していただけると思いますが」
「家が崩壊するおそれがありますので外でしかお見せできません。
ご迷惑になるといけませんから、ここではやめておきましょう」
ってことで、もはやライトとベスはうちの家族みたいになってしまったの。
お父さんとお母さんが息子ができたみたいってライトを気に入っちゃって、
私とライトのことは、後回しにされた。
まあ、私とライトがいい関係になることに反対するつもりもなかったみたい
だけどね。
ライトは私たちと一緒に晩御飯を「美味しい、美味しい」って食べて満足そう
だった。
ご飯を美味いって言ってもらって、お母さんは上機嫌だった。
おまけに、ライトはお風呂にも入ってご満悦・・・。
今日、会ったばかりだよ・・・馴染んじゃうの早すぎない?
もう何ヶ月もうちにいるみたい・・・。
「ライト・・・明日は私、お仕事だから・・・夕方まで家にいないからね」
「お母さんと留守番してて・・・ね」
「それか社会勉強のために、街に出ててもいいけど・・・」
「お仕事?」
「そうよ、会社ってところにお勤めしてお仕事をしてるの」
「そんなところに行く必要があるんですか?」
「ちゃんと働くことが、人として社会で生きてくってことなの」
「お給料もらって生活していかなきゃいけないでしょ・・・欲しいものも
買いたいしね・・・」
「お給料?」
「そうだよ・・・働いたぶんだけ、お金を貰うの・・・」
リッチな生活は望まなくても、ある程度お金は必要でしょ」
「そのような概念は魔法の世界にはありませんけど・・・」
「ライトと違って私たちは魔法使えないからね」
「人間って進んで面倒くさいことしてるんですね」
つづく。
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