復讐とは

奴隷だった『 』がいた。




身内を殺された『 』がいた。




それ以来復讐を楽しんでいる。





同じ苦しみを味わえと、奴隷商人の身内を

いたぶり殺し、奴隷商人もいたぶる。





呪われろ。ただ殺しはしない。





そして、奪われた人々の復讐の輪は広がっていった。





それらも殺した。





血で汚れた、冷たい手で。






ある日、同じように奴隷商人を『 』らしく

殺そうとすると、自分と同じ奴隷だった。




なぜか、思わず手を止めようとしたが容赦はしない。





“あの”人殺しの子供だからだ。







その子供は口を開くとこう言った。




ー「怒りは分かります。貴方の味方になります。」





と。虚無の声と目で、何処か誠実に言った。





ー意味が分からなかった。





何よりも要らなかった。





復讐は自分だけのものだと。





酷く冷たくあしらいその場を去った。







その翌日、その子供は跳ね返った血を沢山つけていた。





『 』の首が直ぐに跳ねられた。





首が落ちる時、この子供なりの『 』への救済だと思った。





もし、不死身だったら、

この子供にこれを間違っていると教えられたのか。





意識は途絶えた。

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