取り締まる俺

 犯罪にならないんだけど悪いことっていっぱいあるよね。

 倫理とかなんとか言って勉強させられるけどさ、組織に入ったらそんなもの忘れたほうが楽なんだよ。警察署の中ではノルマがあって、それ達成しないと昇進できないんだ。だからな?どんな些細なことでもしょっぴいちまったほうがいいんだ。




 その日は夜間の街の見回りをしてたんだ。街灯の下にある自販機の前でちょっと怪しいやつがいた。近づいたらなんと、自販機の小銭を取っていた。窃盗で行ける。そう思った。書類作るために話を聞いた。そしたらさ、そいつ「500円があった、500円があったんだ」ってずっと俯いたまま言ってんの。怖いよ。まあ夜だしそういう人もいないこともない、とりあえず書類作ってこいつはお釈迦。ノルマも達成でウキウキなわけ。



 次の日、所長に呼び出された。まずい、ばれたか?って恐る恐る部屋に入ったら、とてつもないぐらいの笑顔で、「よくやったな昇進決定だ!」って。びっくりしたよ、でも念願の昇進でさらにウキウキ。浮足立つが過去のことになったよ。




 そんな感じで今俺は所長まで上り詰めている。やっぱり倫理なんて忘れたほうが楽じゃないか。ちなみにこの話はここだけにしといてよ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る