第7話「フリマの発見」



「これ、全部売れるかな…」


日曜の午後、私は部屋の片隅に積み上げられた段ボール箱を見つめていた。母からもらった家計簿に記録をつけ始めて1週間。気づいたら、部屋の掃除と整理を始めていた。


手に取ったのは、昨年買ったミニバッグ。当時は「可愛い!」と思って購入したけれど、実際にはほとんど使わなかった。


「ちょっと、スキャンしてみようかな」


「目利き」アプリを起動する。


```

商品名:春色ミニショルダー

購入価格:4,800円

現在価値:中古市場予想2,800円

特性:トレンド商品、未使用に近い

相性:フリマアプリ向き

隠れた特性:

- 再販価値:安定

- 需要期:春~夏

- 出品適正時期:今週

```


「へぇ、こんな情報まで分かるんだ」


アプリの指示に従って、スマートフォンで写真を撮影。明るい窓際で、きれいに商品を撮影する。説明文も、アプリのアドバイスを参考に、丁寧に書いてみた。


次は、開封しただけのスキンケア用品。


```

商品名:高保湿美容液

購入価格:5,200円

現在価値:転売不可

特性:開封済み化粧品

注意点:衛生面のリスクあり

推奨対応:処分

```


「なるほど…これは売っちゃダメなんだ」


化粧品の転売に関する注意書きが表示される。知らなかったけれど、確かに人に使ってもらうものだもの。unopenedマークの付いた未開封品だけを、別の箱に分けた。


「よし、出品完了!」


投稿ボタンを押した瞬間、スマートフォンが優しく振動する。


「初めての出品、おめでとうございます。

以下のポイントを心がけましょう:

1. 丁寧な対応

2. 正確な商品説明

3. 迅速な発送

信頼を積み重ねることが、あなたの新しい価値になります」


その日の夜遅く、最初の購入申請が届いた。見知らぬ誰かが、私の「いらない」と思ったものに価値を見出してくれた。なんだか不思議な気持ち。


梱包作業をしながら、私は考えていた。モノの価値って、人それぞれ違う。私には必要なくなったものでも、誰かには新しい価値があるかもしれない。


スマートフォンには、また新しい通知が届いていた。


「本日の進捗:

出品数:8点

想定売却額:12,600円

学習ポイント:モノの価値は、時と場所で変化します」


段ボール箱の山は、少しずつ小さくなっていく。その代わりに、私の中で新しい発見が大きくなっていくのを感じていた。

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