第7話 ドルマンSIDE 魅了  主人公SIDE おわり


俺は悪夢を見ているのか……


何をやっても勝てない俺は勇者になりようやくフドラに勝った。


そう思ったが、それでも三人はフドラが好きだった。


男として勇者になっても俺はフドラに負けた気がした。


やがて『魅了』のスキルを手に入れた時には小躍りしたもんだ。


これさえ使えばフドラに勝てる。


魅了と言うのは便利で、徐々に相手の心に入り込み、俺を好きになる。


そういうスキルだ。


『勇者なら、更に良い女が手に入るだろう?』


そう言うかも知れないが、フドラに負けっぱなしだった俺は三人に固着していた。


そして三人を手に入れフドラを追放……これで本当に俺の勝ちだ。


1週間彼奴をこのパーティに置くのは、彼奴に見せつける為。


それだけだった……


なのにこれは……なんだよ!


「悪いな、ドルマン……三人は俺の方が良いってさぁ! 『ブラックウイング』はこれで解散で良いよな?」


嘘だろう……魅了を使ってもそんな事を許して貰えなかったのに、フドラはエルザやセシリアの胸を揉みながらキスをしている。


フドラが勝ち誇こり、俺をあざ笑っている。


そうか……『本物の愛』の前には魅了じゃ勝てない。


そういう事か……これ以上惨めになりたくない。


「解ったよ、解散で構わない、俺の負けだ……もうお前達に関わる事は無い」


俺は四人にそう伝え、逃げるようにしてその場を後にした。


◆◆◆


「ドルマンは一体どうしたんだ? 随分あっさり引いてくれたけど」


「まぁ良いんじゃない?ハァハァ」


「そうだよ!揉めないで終わるならハァハァそれに越したことは無いよ」


「うんうん、それじゃ早速……」


「「「フドラ、しようよ」」」


三人を変えてしまったのは俺だ。


三人はもう俺の好きだった幼馴染の面影はない。


だが、それでも人生の大変を過ごした幼馴染ではある。


この調子じゃすぐに子供も出来そうだ……


責任とって結婚でもすれば良いか……田舎に帰るのも悪くない。


うん、寂しくはないから......これで良いか......


                    FIN

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