この列車に終点はございません。
すみのいさき
第1話
私は今列車の中にいる。
車内は暗く、私の他に乗客は1人もいない。
夜の湖をただひたすらに周り続けている。
湖と一口に言っても、ただの湖ではない。全く先の見えない湖だ。地平線には、建物も、山も、浜辺も一切見当たらない。
車内には古ぼけた音色の「ジムノペディ第1番」が小さく響き渡っており、憂鬱な気持ちに拍車がかかる。安堵感と焦燥感に押し潰されそうだ。
ボックス席から車窓を眺めると、空には天の川が流れ、湖にはもう1つの銀河が作り出されている。
ここは何処なのだろうか。
全く思い出せない。
だが、1つだけ漠然と分かることがある。
————恐らく、この列車に終点はない。
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