-Episode1 贖罪-
『リデ』魔女裁判所内
「...ったく、何だよ。この場所は。」
悪態をつくドラゴン魔女。
彼女は『火の贖罪』ドラゴン魔女、
『フィアンセ・ユーフォリア』。
「今すぐ壁を爆破しても良いくらいだぜ。」
「辞めなさい。貴女、ここが何処か
分かっているの?」
声を掛けたのは『光の贖罪』聖女魔女、
『ミカエラ・ルーデンブルク』。
カンッ。
『いらっしゃいませ、贖罪の魔女様方。』
「...!はっ。」
バッ!
聖女魔女が跪く。
「ミカ様...?このお方は...」
尋ねたのは『水の贖罪』人魚魔女の
『ロゼ・カムパネルラ』。
「このお方は、この魔女裁判所の裁判長、
メルシー・ベネヴォレンス様です。
この世界で全ての決定権をお持ちの方。」
『ご紹介ありがとうございます。
今晩、皆様をお呼びしたのには
れっきとした理由があります。
それは...
皆様の犯された大罪を裁くためですので。』
「私は何も大罪を犯してなんか...!」
「そうだ!大罪なんて犯していたら
今頃私達は磔刑だ!!」
『お静かに。”海割り”の魔女様、
”人外化”の魔女様。』
「「......!?」」
『私に隠し事は出来ません。
人魚族の禁忌を破り、海割りの術を使いし者。
この世の禁忌である、人外化の術を使いし者。
聖女の名を持ちながら、詐欺を犯した者。
人間である事に嫌気が差し、自殺した者。
森の奥深くに鎮座する、聖獣を殺した者。
主に愛される為に、仲間である人形を殺した者。
自身の腕に酔いしれ、賭け事にのめり込んだ者。
天使の地位を捨て、悪魔として堕天した者。
元の世界を捨て、転生者として降臨した者。
以上、9つの大罪を裁判にて起訴します。』
「「.........」」
『私に着いてきてください。』
-裁判所内 泊室-
『1人1部屋割り振っておりますので、
鍵をお渡し致します。
その部屋でお過ごし下さい。
水の魔女様には”荒れ狂う波”の部屋を。
火の魔女様には”燃え盛る炎”の部屋を。
光の魔女様には”降り注ぐ光”の部屋を。
闇の魔女様には”光覆う闇”の部屋を。
大地の魔女様には”揺蕩う大地”の部屋を。
雷の魔女様には”轟く雷鳴”の部屋を。
風の魔女様には”吹き荒れる風”の部屋を。
氷の魔女様には”絶対零度の氷”の部屋を。
無の魔女様には”沈黙の無”の部屋を。
明日の正午、あちらの大講堂にお越し下さい。』
「...何をするつもりだ?裁判長様とやら。」
ドラゴン魔女が訝しげに尋ねる。
裁判長は続ける。
『ああ、そうそう。
そういえば言っておりませんでしたね。
皆様には、”魔女裁判”という名の
”人狼ゲーム”をして頂きます。』
この人狼ゲームで最後まで生き延びた
「1名」のみ、
この場所から解放して差し上げます。
部屋にはそれぞれ銃が3つと毒薬が1つ。
そして、1本のロープがあります。
こちらは自由に使っていただいて構いません。』
「脱出する為には、仲間である魔女を
殺しても問題は無いと?」
『ええ。この場合のみ、罪は適応いたしません。
皆様が全員部屋に入られたら
ゲームが開始します。
如何なる場合も、毎日必ず
正午に大講堂へお集まり下さい。』
「...人狼は存在するの?」
普段はほとんど喋らない人間魔女も、
珍しく口を開く。
『”皆様全員が人狼”という所でしょうか。
役職も人狼しか存在しません。
夜の時間... つまり、
皆様が行動できる時間には、
この廊下一帯を自由に歩き回って構いません。
奥にある図書室や食堂、更衣室なども
自由に使ってもらって大丈夫です。
そこで殺人をしてもいいし、
自分の部屋に閉じこもってもらっても
構いません。
さて、説明はこのくらいでしょうか。
では、鍵を渡しますね。』
チャリ...。
渡された鍵は、装飾が丁寧に施されている
美しい鍵。
鍵の中心に美しい宝石がはめ込まれており、
持ち手の所には大きな星の形の装飾が付いている。
「美しい鍵...。宝石は魔女によって異なるのね。
私のはサファイアかしら?」
あまりの美しさに、人魚魔女がため息をこぼす。
『ええ。魔法細工師の渾身の品です。
この国に存在する9つの魔法色を元に、
オーダーメイドで作ってもらったのですよ。
宝石も、それぞれに対応した物と
なっております。
水はサファイア、
炎はルビー。
光はシトリン、
闇はタンザナイト。
大地はエメラルド、
雷はトパーズ。
風はペリドット、
氷はアクアマリン。
そして、無はオパール。
以上9つの宝石を使用しております。
私の所持するマスターキーには、
7色へと色が変わる特別なアレキサンドライト_
『サルヴァターラ(salvatore)』と
海のように深く、空のように青い
ブルーダイヤモンド
『モルテ(morte)』を使用しています。
前置きが長くなりましたが...
さて、覚悟はよろしいでしょうか。
部屋の鍵を開け、部屋に入ったら開始です。』
「「.........。」」
『では、このゲームを。
...いや、この”魔女裁判”を。
開始したいと思います。』
カーーーーーン...。
魔女裁判はお好きですか 夜天コドク @Aliciamercy
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔女裁判はお好きですかの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます