毒、毒、毒⁉︎ 毒で死んでループする令嬢は知らないうちに、最強の魔法使いに溺愛されている。

にのまえ

プロローグ(1) ???

 大雨の中、男は傘もささず誰かの墓の前にただずんでいる。

 その男の手には水色に光る、球が握られていた。


「ああ、君が俺を好きじゃなくても、他の人の者でも君がこの世界にいてくれるだけでよかった。……君がいない世界なんて考えられない……」


 男は手の中の光る球を見つめて


「これを使えば……俺はもう一度、君に会えるかもしれない」


 と呟き、球を粉々に砕く。この男の足元に時計のような魔法陣が現れ、その光は周りを、建物を、人々をすべて消していった。


「この世界に帰っておいで、今度はぜったい俺が守るから」


 最後に光が、男をのみこみ消える前。

 大粒の雨にも負けないくらいの、大粒の涙をこぼし。


「俺は君だけを愛しているよ」


 と呟いた。

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