第30話

「悪い、待たせたな。じゃ、始めんぞー」


「は、はい!」




思いの外早く戻ってきた先生に内心焦りながらも、バレないようにハンカチを足で強く踏みつける。




吸え!圧で吸収しろ!!




もはや試験のことなど忘れ、シミのことで頭がいっぱいになっている私。




「シャーペンと消しゴムは出しとけよー」


「············」


「おーい。聞いてんのか転校生。」


「······っはい!」




まずい、バレたら終わる。




弁償なんて言われた時にはもう自害を選ぶしか道はない。




······何があっても隠し通すんだ!




「はい、はじめー」




気だるげな声が戦いの始まりを告げる。




そしてついに、今後を左右する戦いの火蓋が切って落とされた。

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