寂しさの捌け口

第9話

4月初旬。

家に帰る私の足取りは軽かった。



「ようやく買えた~!」



あの日以来、あれよあれよとEmperorにハマってしまった私。



「初、アイドル雑誌!」



雑誌を持ってくるくると回る私は、傍からみたらかなりの不審者であろうが、そんなことは気にしない。



これまでの人生で何かにハマるという経験をしてこなかった私にとって、趣味のためにお金を使うことが新鮮でしょうがない。



Emperorが表紙だと聞きつけ、発表当日に予約済みという用意周到さ、褒めて欲しい!

ちなみに、店頭にあった分は発売開始30分で完売になったらしい。過去の自分、グッジョブ!



「やっぱり好きだなぁ」



表紙に映った5人の姿を見て改めてそう思う。

笑顔のみんなは、本当に輝いていて眩しいよ。



本をパラパラとめくると、お目当てのEmperorの特集ページを発見。



「おお、すご。インタビューまで載ってる」



その数、見開き10ページ。

Emperorの人気を肌で感じて、思わず感嘆の声が漏れた。

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