半人半魔族の謀略
陸花
プロローグ
第1話 開かれた世界(前編)
私は半人半魔族のシャミ―ニアだ。
人の姿に黒い角と翼が生えていて、赤い目に白い髪をしている。
お母さんと同じだ。
お母さんは食べた生物の能力を得られる能力があり、様々な魔物や人を食ったことで人に近い見た目をしている。
目の前で魔族のスケルトンウィッチとお母さんが話をしている。
「半端ものだと魔族の素質があるか疑わしいな」
「たくさんの魔物の血が混じったことで、多種類の魔物を指揮できるのは君がスケルトンしか指揮できないことに比べて優れているだろう?」
「能力の問題じゃない。
君の能力は食べた者の能力や姿以外に考え方や意識も共有されるんじゃないのか」
「それは君の勝手な推測だろう。
私の統治している領土は人との戦域ではないが、君の領土などの激戦地には毎回援軍を派遣して人族を撃退しているだろう」
「それは人族とあらかじめ結託していて、君が来てから撤退するように計画を立てているんじゃないか」
「ああ言えばこう言う、結局君は私自身が気に食わないんだろう?」
黒いマントのフードに隠れた骸骨の目が私の方に視線を変えた。
「君の母親はどんな人かな?」
「お母さんはいつも魔族のために一生懸命働いて、私のためにおいしい料理をいつも作ってくれて優しいよ」
「どんな料理なんだい?」
「だいたいは何かしらの肉を焼いて、塩など調味料を使って味付けしたものだよ」
再びそいつは母の方を向いた。
「肉なんか生でいいだろう。塩も西の人族ぐらいしか使っていないんじゃないか?」
「勘弁してくれ。あんなものとてもじゃないがそのままでは食べられないだろう。少しは人間の血が混じっているんだ。
そんな獣みたいな食い方は私もあの子も食えるわけないだろう。」
「肉体は多少なりとも人の構造だってことだろう。ならば精神も人に近い部分があるんじゃないか。」
「私がどれほどの人を殺したか忘れたのか。
少なくともお前以上には高いスコアを上げているだろう?」
「今日はこれまでにしておこう。またの機会に会おう。」
「できれば君とは数十年会いたくないな。」
部屋の扉が閉まり二人きりになった。
人の姿に近いので日常的に周りの魔族から半人半魔族と呼ばれ母も私も馬鹿にされている。
「シャミ、ごめんね。スカルおじちゃんは怖かっただろう?」
微笑みながら言った。スカルはあのスケルトンウィッチの名前、シャミは私シャミ―ニアの愛称だ。
「大丈夫、いつもあんな感じだからもう慣れた」
魔族は怖いやつばかりだが、お母さんはいつも私に優しく接してくれている。
だからお母さんが好きだ。
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