TANKA

芳岡 海

あくびとともにいずれ溶けゆく(何らかの情景10首)

抱かれつつ遠いどこかを見るように異国の場所であなたを想う


夜に地球の青白い明るさと等しく光る冷蔵庫の灯


海に散骨してほしいその果てが滝になって落ちているなら


小魚のまどろみはさざなみとなり あくびとともにいずれ溶けゆく


窓ガラスの冷たさが刻む薔薇を占いとする冬の早朝


青空なら赤い羽で飛びたいと手首切ったあの子は言ってた


逃亡の算段もついたことですし、もう少しだけ歩きませんか


鳥たちはわたしに何も伝えない ただ飛ぶことこそ空の一文字


屋上の半分は空 大人とはいくつになればなれるのだろう


歪でもいい飛行機雲 誰かの空を見上げる理由になって

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