第一章 *変わる風*

双方の動き

第1話

―…









「……まったく、なんてザマだよ」




少年は冷ややかな瞳を足元にひざまずく男に向けた。



紫色に光る、少年の瞳。




「……も、申し訳ありません……。

あの結界の作り主は、おそらくかなりの能力者かと……」




「そんなことは聞いてない。

オマエどうする気?これから」



少年はずいっと男の前に顔を突き出した。



その瞳は何かを探るようで、しかしすべてを見透かしているよう。




「しかし、書状は確実に学園へ……」




「あ~ダメ。全然わかってない。

僕が言ってる意味がわかってない」



少年は大きなため息をつき、癖が強そうな銀色の髪を掻きあげる。




「君ね、任務を引き受けた時点で"成功させる"とゆうのは当たり前なんだよ?

全く威張れることじゃない」




「は……はっ。

申し訳ございませんっ……」




「……僕が怒ってる理由がわかる?」




「……」



男のやせ細った手がガタガタと震えだした。




「そんな傷を負って、これからどう役に立つの?

君にどんな価値があるの?」




「……申し訳ありません。

必ずお役に立てるよう、努力致しますので……」




「……ふーん」



少年は首を傾け、目を細めて男を見つめた。

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