第2話:ゲームの世界

俺はなぜか知らない草原に立っていた。

「ここはどこなんだろう?俺はたしか寝転がってゲームをしてたよな・・・。」

服装はその時と変わらない部屋着のまま、ゲームをしていたスマホも手に持ったままだ。


「これは夢なのかもしれない。」

自分の手をつねってみたが痛い。

そもそも夢にしては現実味がありすぎる。


「どうも夢ではないようですな。拙者も色々試しましたが、紛れもなく現実でござる。」

急に隣から声が聞こえて驚く。


「なんで導寺がここにいるんだ?って事はここってお前の夢の中?」

「そんなわけないでござろう。とにかくあの建物を見るでござる。」


彼が指さした方向を見ると城壁に囲まれた城が立っていた。


「あの建物は・・・異世界勇者のエルヴァンディア城に似ている?」

「さすが君沢殿。つまりここはゲームの中というわけでござる。」

彼は持っているスマホの画面を見せてきた。

そこには城の画像と「異世界勇者の世界へようこそ!」というポップな文字が描かれていた。


「なるほどそうかー・・・って現実的にありえないだろ。それよりスマホがあるなら何か出来るんじゃないか?」

「残念ながら、異世界勇者しか開けない上に、遊べるモードが未実装だった闘技場しかダメになっているでござるよ。」


俺のスマホも調べてみたが同じだった。

未実装だった闘技場モードをタップすると、出場キャラを選ぶ画面にはなるが選択出来ずに強制的に女騎士アリアになる。

そして、タップしろと言わんばかりに「召喚」の文字が点滅している。

どうするか迷っていると、導寺の悲鳴のような声に我に返る。


「君沢殿!周りを見てみるでござる!」

「周りって・・・え?!」


周りを見てみるといつの間にか異形の集団に囲まれていた。

禿げた頭に大きいわし鼻、緑色で小柄な体躯。


「ゴブリンじゃないか!?」

「多くのファンタジーゲームに出てくるポピュラーなモンスターですな。もちろん異世界勇者で序盤の雑魚キャラとして登場するでござる。それを踏まえてもここがゲームの中の世界である事は・・・ブツブツ・・・。」

「そんな事を言ってる場合か!」


ゴブリン達は各々の武器を振り回し「ギャッギャッ」と騒いでいる。

だが襲ってはこない。


(こいつら、無力な俺達をからかっているのか?それなら逃げるチャンスがある。)


俺は隣にいる導寺に逃げるように目くばせをする。

彼は俺の意図が分かってくれたようで、深く頷いた。


「貴様ら雑魚どもなど敵ではない!かかってくるでござる!」

彼はヒーローポーズを決めて啖呵をきった。


(こいつ何もわかってねえ!)

残念ながら彼との意思疎通は無理なようだ。


ゴブリン達には言葉は通じないが、馬鹿にされたことは伝わったらしい。

彼らは怒りの感情と共に、武器を構えて攻撃体勢に入り、俺達を逃がさないよう素早く後ろにも回り込んできた。


(嘘だろ?これでは逃げられない。)

俺はチラリと導寺の方を見ると、彼は色んなヒーローポーズをしながら相手を威嚇?している。

役に立ちそうにない。


「ここがゲームの世界なら・・・頼む!」

俺は願いを込めてスマホの「召喚」の文字をタップする。

すると目の前にゲームと同じ召喚陣が現れ、光と共に銀のフルプレートの女騎士アリアが姿を現す。


「勇者君沢様のご用命に従い参上しました。何なりとお申し付けください。」

彼女はゴブリンと対峙したまま俺に指示を求めてきた。


(す・・・凄いリアル女騎士アリアだ。)

彼女の体躯は普通の女性と変わらないが、圧倒的なものを感じ迷わず命令する。


「ここにいるゴブリン達を殲滅してくれ!」

「承知した!」


彼女は両手に装備した盾を全面に構え、ゴブリンの集団に突進していった。

動揺したゴブリン達を吹っ飛ばし、さらに盾で撲殺していく。

その戦闘力に怯えたゴブリン達は散りじりになって逃げていく。


「ギャアアアアア!」

しかし逃げたゴブリン達も炎に焼かれて消し炭になった。


「手ごたえがないのう・・・ゴブリンだとこんなものか?」

聞いた事がない声が聞こえて振り向くと、魔術師ルックの幼い女の子がいた。


「誰だ?」

「わしは勇者導寺によって召喚された魔術師ミリアじゃ。もっと早く召喚してもらえば見せ場があったのにのう・・・残念じゃ。」

「いえいえ、ミリアたんは存在自体が尊いのでござる!ピンク髪の愛らしい幼い外見と、それとは真逆の老獪な口調!そして、昨今の巨乳ブームを無視したスレンダーボディ!これこそが女魔術師の究極系でござる!」

「それ・・・ほめとるのか?まあよいわ・・・さっそく城にれっつらごーじゃ。」


現実的には信じられない展開の連続だったが、それほど不安や動揺はない。

現実でうまくいっていない俺にとって「異世界勇者」の世界は望んだものだったからだ。


(よし!これからはこの世界で生きていく。マイナスしかなかった人生を取り戻すんだ!)



























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