俺はSSRなのに不遇な女騎士と異世界無双する

国米

第1話:異世界勇者

俺の名前は君沢 主将(きみざわ かずまさ)という35歳の派遣社員。

いつも長時間労働と休日出勤をしている俺の唯一の楽しみは「異世界勇者」というアプリゲームだ。

異世界に召喚された勇者となって、その世界の美少女や美女達と魔王を倒す旅に出るという内容のゲームである。


「久しぶりの連休だから、今日は「異世界勇者」を徹夜でプレイするぞ。」

「せっかくの連休に拙者の家でゲーム三昧とは寂しい男ですな。」


変な口調で答えたのは、導寺 士門(とうじ しもん)という黒ぶち眼鏡で髪はボサボサ、キャラのプリントTシャツを常時着用しているオタクを体現したみたいな男だ。

ゲームのリアルイベントで意気投合した同士である。


「お前に言われたくないな。それよりダメージランキングを上げる方法を教えてくれよ。俺の推しの女騎士アリアだといくら課金して鍛えても43位が限界なんだよ。」

「しかたないでござるよ、女騎士アリアはSSRの中でもダメージランキングでは不遇キャラですからな。それで43位は驚異的でござるよ。」


このゲームは敵を倒してストーリーを進めていくタイプなのでどのキャラでも鍛えたら進める作りになっている。

ただ唯一の対人要素のダメージランキングは、決まったターン数でのダメージ量で決まるので、守りを得意とする女騎士アリアでは上位になるのは難しい。


「ランキング12位に褒められてもなあ・・・。」

「拙者の推しである魔術師ミリアたんは現状攻撃力最強ですからな。それだけの優遇キャラを入れてもトップ10に入れない拙者では力不足でござる。」

「トップ10に入れば使用キャラの専用レア装備が手に入るから、アリアでなんとか勝ちたいんだよなあ・・・。」


なぜ俺がそこまで女騎士アリアにこだわるのには理由がある。

このゲーム独自のシステムでキャラと大画面で会話できるモードがあり、仲良くなればなるほど表情も変化し、会話内容も変化する。

女騎士アリアは全身フルプレートで、顔も兜に隠れて下半分しか見えない。

初めは尖ったキャラだから育てていたのだが、仲良くなればなるほど可愛い所があり推しになった。

色々頑張って友好度が最高になったのだが、最後のイベントを見るためには専用レア装備を手に入れないといけないらしい。


「しかし、アリアを使っているユーザーでトップが俺の43位ってさすがに無理でしょ・・・運営バランス調整間違えたんじゃないのか?」

「あり得る話ではありますな。とはいえもっとゲームとして人気が出たら救済措置など出来るかもしれませぬ。」


残念ながらこのゲームは、基本的なシステムは他と比べてもあまり目新しさがなく、それほど人気がない。

しかも女騎士アリアはゲーム内で最低人気なのでさらに厳しい。


「もうすぐ対人戦の闘技場が追加されるらしい。それならダメージ量じゃなくて勝敗だから何とかなりそうだけど・・・。」

「そうでござるな。しかしもう最終イベント見た連中がいると思うと嫉妬で狂いそうですぞ!」


二人で語りながらアイテム集めの周回プレイをしていると、急に眩暈がした。


(最近遅くまで仕事だったから疲れているのか・・・なんだ・・・意識が・・・。)


俺の意識はそのまま暗闇に沈んでいった。

































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