第11話 掲示板回2

【情報提供】呪草採取配信実況スレ2【上位クラン出動依頼】


67:名無しの探索者

ゲートの封鎖は完了。練馬、世見平の両ギルドは三次警戒を発令。


68:名無しの探索者

聖歌隊は動かないのか?


69:名無しの探索者

あそこのクランは独立志向が強いからな。動向が読めない。


70:名無しの探索者

兎に角魔法系スキル持ちが居る。手すきのやつを片っ端から集めるしか無いだろ。


71:名無しの探索者

いや、そもそも魔法系スキルで討伐できるのか?


72:名無しの探索者

回復系スキルの性能が分からない。シミュレーションするにもデータが足りない。


73:名無しの探索者

どう考えてもユニーク相当だ。既にギルド単位で対処できる枠を超えている。自衛隊が動くのを待つべきじゃないか。


74:名無しの探索者

……あの、リーダーとクマさんはどうなったんですか? 助けには向かえないんですか?


75:名無しの探索者

…………


76:名無しの探索者

無駄死にを増やすだけだ。


77:名無しの探索者

そんな!


78:名無しの探索者

走れ、佐倉ちゃん。お前だけでも生き残れ!


79:名無しの探索者

練馬ゲート前で取っ組み合いだ。神崎が突入するぞ。


80:名無しの探索者

ギルド職員じゃ話にならない。誰か上位のクランメンバー連れてこい!


81:名無しの探索者

私が行って、直接話を付ける。それまで抑えててくれ。


82:名無しの探索者

おい、追いつかれてるぞ!


83:名無しの探索者

『ファイヤーボール』! 何発撃てるんだよ!


84:名無しの探索者

もういい。遠隔で配信を落とすべきだ。これ以上は世論に影響が出る。


85:名無しの探索者

今更だろうが!


86:名無しの探索者

……これまでか。


87:名無しの探索者

――――ッ!


88:名無しの探索者

待て! 誰か飛び込んだぞ!


89:名無しの探索者

何処の馬鹿だ! 倒竜会か!?


90:名無しの探索者

神崎はまだゲート前だ。


91:名無しの探索者

巻き込まれたか。


92:名無しの探索者

おい、ギルドは名簿確認をしていないのか? これ以上犠牲を出させるな! 神崎は今すぐ簀巻きにしておけ!


93:名無しの探索者

…………え?


94:名無しの探索者

え、……なんで?


95:名無しの探索者

刺さってる、よな?


96:名無しの探索者

いや、今何連結した!? 


97:名無しの探索者

4。


98:名無しの探索者

いや、5だった。


99:名無しの探索者

それより『物理ダメージ無効』だよ。どうやって貫通したんだ?


100:名無しの探索者

『魔法剣』、……いや『勇者』か?


101:名無しの探索者

ユニークスキルかもな


102:名無しの探索者

だけど見たことが無い顔だぞ。それに、若い。


103:名無しの探索者

……心臓を一突きしても、再生するのかよ。


104:名無しの探索者

まさか、『超再生』か?


105:名無しの探索者

この子、殺る気だな。


106:名無しの探索者

おいおい、逃げてくれよ。スティレットじゃ無理だろ……


107:名無しの探索者

仕掛けた!


108:名無しの探索者

……凄い。


109:名無しの探索者

どんだけスキルぶん回してるんだよ! 普通脳が焼き切れるぞ!


110:名無しの探索者

刺さってるな、スティレット。理屈はさっぱり分らんが。


111:名無しの名無しの探索者

おいおい、ミノタウロスがひっくり返ったぞ。どんなスキルの使い方してやがる!


112:名無しの探索者

眼球狙いだ。脳を直接破壊すれば確かに再生しないが。


113:名無しの探索者

あんな使い方してたら、武器が持たないだろ。


114:名無しの探索者

綱渡りが過ぎる。心臓に悪い。


115:名無しの探索者

凄まじいスキルの練度だな。『歩行』を戦闘用に運用している奴なんて、久しぶりに見た。


116:名無しの探索者

え、この急加速って、『歩行』!? 何で転ばないんだよ。


117:名無しの探索者

というか明らかに目の前にいるこの子を、ミノタウロスが認識できて無い時があるのは、どうしてなんだ? そんなスキルあったっけ?


118:名無しの探索者

ユニークだろ。やっぱり勇者系。


119:名無しの探索者

……ミノタウロス、怯えてない?


120:名無しの探索者

戦闘能力に反して、経験が乏しいのか?


121:名無しの探索者

命の遣り取りに慣れてないんだろ。『物理ダメージ無効』と、『超再生』を併せ持ってたら、まず死ぬことなんてないからな。


122:名無しの探索者

……不味い。


123:名無しの探索者

『インフェルノ』! 上級の『火魔法』じゃねえか! 辺り一帯を焼き尽くす気だぞ!


124:名無しの探索者

何だよこの化け物、冗談にも程があるだろ。


125:名無しの探索者

…………あっ。


126:名無しの探索者

刺さったな、首。


127:名無しの探索者

『インフェルノ』切れた!


128:名無しの探索者

よ、容赦ねえな……






358:名無しの探索者

…………


359:名無しの探索者

…………


360:名無しの探索者

勝負合ったな。


361:名無しの探索者

勝負合った、けど……


362:名無しの探索者

穴だらけ……


363:名無しの探索者

でも、やらないと回復するから。


364:名無しの探索者

ミノタウロスがどう動いても、絶対に穴が開くよね。


365:名無しの探索者

人って、こんなに淡々と刺し続けれるものなんですかね?

機械的な殺意みたいな


366:名無しの探索者

何でだろう? 怖いより悲しい。


366:名無しの探索者

久しぶりに見たな、こういう子。


367:名無しの探索者

どういうことですか?


368:名無しの探索者

92年の最初のスタンピードの後、まだ法整備も碌に進んでいなかった時期だな。ダンジョンはまだ自衛隊が管理していて、関係者以外は立ち入りできなかった。だけど時折、検問を掻い潜ってでも、ダンジョンに入ろうとするやつらが居たんだよ。


369:名無しの探索者

金目当てでしょ。当時ならダンジョン産の素材って、今よりも数段希少だっただろうし。


370:名無しの探索者

違う。いや、勿論そういう密猟者どもも当然居たんだが、あれとは全然質が違う。

取り押さえてみるとな、出刃包丁や草刈り鎌なんかを大事そうに握りしめてる。そんなチャチなもので魔物が倒せるはずもないのにな。だけど本人たちは大真面目で、キョトンとした表情で俺たちの顔を見返すんだよ。

守衛所で話をしてみると、大抵すごく素直で、大人しい。湿気った茶葉でお茶を淹れると、それを嬉しそうに飲んでいた。警備隊に引き渡す時には、本当に申し訳なさそうに頭を下げる。

だけど、何度も来るんだよ。何度止めても玩具みたいな武器を持って、病的な執着心と集中力で警備を掻い潜ろうとするんだよ。

後で調べてみるとな、大抵全員がスタンピードの生き残りだった。何もかもを失って、ただ命だけが残った人間だった。妙に納得がいったのを覚えてる。


371:名無しの探索者

……その人たちはどうなったんですか?


372:名無しの探索者

俺が知ってるやつらは、皆酷い死に方をした。理由はそれぞれ違ったけど、皆死んだ。

目がな、忘れられないんだよ。感情の色が感じ取れない、凪いだ日の湖面みたいな綺麗な目だった。揺れの少ない瞳孔は、宝石みたいに見えた。ちょうどこの子と同じだよ。

ほら、決着が着くぞ。


373:名無しの探索者

……あ。


374:名無しの探索者

顎下から一突き。


375:名無しの探索者

本当に倒したのか!


376:名無しの探索者

……凄い。本当に、凄い!


377:名無しの探索者

ギルドの上層部に連絡を取った。すぐにでも現場保存に出られる。


378:名無しの探索者

神崎は先行してクラン員の救助に向かったぞ。私たちも直ぐに出発する。あいつらだけでは戦闘員が足りん。現場は完全に封鎖する。


379:名無しの探索者

新しい英雄の誕生だ。


380:名無しの探索者

それにしても、やはり見たことが無い顔だな。少なくとも関東クラン連合の中には居なかった。まあ大手クランはすぐに動くだろうし、すぐに情報は出るんだろうけど。


381:名無しの探索者

……生き残ったんだから、もっと喜んでもいいのに。

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