第11話 金閣寺の11ページをお開きください。

まだ、少年たちの語らいの場面の話です。


先輩に海機に入らないか?と言われ、坊主になる、と断る溝口。


吃りはない。


コミュニケーションというのは、影響を与え合うことですが、溝口は吃りがあり、影響は与えられても、自分からタイムリーに人に影響を与えることができないのです。


故に、現実が自分とは連動せず、勝手に動いているという状況に。


さらには、”与えられた”影響はどんどんどんどん溝口に溜まる一方なのです。


だから一人称視点なのかと。


全てが溝口の内的世界……溝口沼……。


そんな中で、度々吃らずに話せる時があるんですね。


私にはまだその法則が掴めてないのですが。


さて、そんな溝口の返事に先輩はどう返したかというと、


「ふうん、そんならあと何年かで俺も貴様の厄介になるわけだな」


と言うんです。


カッコイイーーー!!(((o(*゚▽゚*)o)))♡


太平洋戦争での死を前提に生きている青年、カッコ良い!!


いや、現実に戦争が近いので不謹慎なのは承知なのですが、私の前世なのか遺伝子なのか、こういうのに非常に弱いのです。


その返答を受けて、溝口は、自分が坊主としてここにいる皆んなを引き受けるビジョンを見ます。


さらには、彼が相撲をとるために脱いだ制服と、それを取り囲む花々の光景に、”墓場”を連想します。


美しすぎるーーっっ!!_:(´ཀ`」 ∠):


たった4ページ(2500字程度)で、溝口の人間関係、溝口の将来、彼らと戦争、死と美、を重ねて書いているんですよ。


これまでの自分の2000字小説とか、一体何を書いていたというのか。


一文字たりとも意味のない言葉はない。


一言に多重の広がりを持たせる。


ということで、殴られていることに気づかないまま死にました。


まだ12ページですけどね!!!





冒頭で一回死んだ話 おわり

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