選ばれたのは地球か、それとも滅びか。思想が交差する戦場で、人類は新たな秩序を築けるのか?
湊 マチ
第1話 プロローグ
北朝鮮、平壌郊外。深夜、霧が立ち込める中、冷たい風が国防科学院の巨大なアンテナ施設を吹き抜けていた。その施設は国家の中でも最も厳重に管理された秘密研究所の一つであり、宇宙からの微弱な信号を監視する目的で建設されたものだった。しかし、その本来の目的は表向きの説明に過ぎなかった。
中央制御室では、若き科学者キム・ジュノが薄暗いモニターを食い入るように見つめていた。北朝鮮の最も優秀な頭脳の一人とされた彼は、数ヶ月前から続く異常な信号の解析に没頭していた。その信号は規則性があり、宇宙のどこかから送られてきていることは明らかだった。だが、何度解析を試みても、その意味を解明することはできなかった。
突然、警告音が制御室内に鳴り響いた。ジュノは驚いてモニターを確認する。画面には未知の波形が映し出されていた。それはこれまでに観測されたどの信号よりも強烈で、明確な意図を感じさせるものだった。
「新しい信号だ……しかし、この強さは……」
ジュノは息を飲み、即座に分析プログラムを走らせた。データの解析結果が画面に次々と表示される。信号は単なる自然現象ではなく、明確に人工的なものであり、その構造は複雑かつ高度だった。ジュノの背筋に冷たい汗が流れる。これは偶然ではない。何者かが地球に向けて送ったメッセージだ。
「指導部に報告しなければ……」
彼がそう呟いた瞬間、制御室全体が低く唸るような振動に包まれた。照明がちらつき、機械の動作音が不規則になる。まるで施設全体が未知の力に侵食されていくかのようだった。ジュノは震える手で制御パネルを操作しようとしたが、突然、施設の外で爆発音が響き渡った。
「何が……起きている?」
ジュノは急いで施設の外に出るために駆け出した。外に出た瞬間、彼は空に浮かぶ巨大な光の塊を目撃した。それはまるで生きているかのようにゆっくりと蠢き、地表を照らしていた。その光は冷たくも美しく、何か言葉では表現できない圧倒的な存在感を放っていた。
次の瞬間、光の中からいくつもの黒い影が現れた。それらは明らかに地球の技術では説明できない形状をしており、その静かな威圧感にジュノは足がすくんだ。
彼の耳に直接響くような音が頭の中で再生された。それは言葉でも音でもない、純粋な思考の形をとった「声」だった。
「我々は観察していた。人類の可能性を。お前たちは選ばれた。共に新たな秩序を築くか、それとも消滅するかを決定するのはお前たち自身だ……」
光は一瞬で拡大し、施設全体を包み込んだ。北朝鮮という閉ざされた国の中で始まったこの異変は、地球全体を揺るがす壮大な物語の幕開けに過ぎなかった。
ここから、北朝鮮内での異星人との接触が地球規模の危機へとつながる展開を描いていくことができます。具体的な続きが必要でしたら、さらに展開を深めていきましょう!
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