疾走~非モテな僕が陸上部エースのクール美人の匂いに悩殺されて頑張る様です、やる気が出ないそこの貴方へ送る物語~
SHIN
第1話
少し騒がしい教室でも彼女が入ってくると少し静かになる。
綺麗な黒髪ロング、ぱっちりとした二重の切れ長の目、ツンと高めの鼻に雪の様な真っ白な肌に血色の良い薔薇色の唇が咲いている
彼女の名前は滝川美織と言う、美織は皆が憧れるクール美人、陸上部のエースで成績もトップ。
この完全無欠なルックスに身長165cmの推定Eカップの痩せ巨乳で脚長の豊満なスタイルまで持ち合わせている。
男子共は美織の顔を見ると雷に打たれたかの様に目を丸くさせ、美織のバストが視界に入ると、石の様に固まり、その場から動けなくなる。
大半の男は急に元気が出てきて、今日一日頑張ろうと思い、身の程知らずな男は声をかけ、無機質な目と氷の様な冷たい表情に見事に自尊心を打ち砕かれる。
上記の通り芸能人顔負けのルックスをしていて何度かモデル事務所にもスカウトされて、アルバイト代わりに雑誌の表紙を何度か飾った事がある。
本人曰く、他にやりたい事があるらしく、モデルを専業にするつもりは無いそうだ、なんて贅沢な子だろう。
絵に描いた美少女の癖に人の悪口や噂話もせず、皆からも慕われている、本人も余り口数の多い方では無い。
たまに口を開くと面白い冗談を言ったり、極稀に笑顔を見せる、そんな彼女の非常に希少価値の高い笑顔に男子も女子もメロメロである。
美人は何かと女子達の嫉妬の対象になり、揚げ足を取られがちだが、美織に関してはそんな事は無く何か神格化されている。
そんな彼女が僕の前を通ると朝シャンしてきたのであろうコンディショナーの柑橘とフローラルのいい匂いが鼻についた、彼女の匂いで少し眠気が吹き飛んだ、エナジードリンクなんかよりも元気が出る。
そんな彼女と比べて僕は至って普通の容姿、中の下だと信じたい成績、もしかしたら下の上いや、下の中かもしれない。
唯一、絵を描く事が得意で美大を目指している、失敗してしまった時の事が恥ずかしくて皆には話しをしていない。
帰宅部で週3の美術予備校通いをしている。
その他に自分で言うのもあれだが少しムードメーカーな所はあるかもしれない、友達は多い。
ムードメーカーというよりも自分の劣等感に向き合わず少し騒がしくして誤魔化しているだけな気がする、自分でも自覚しているが空虚、そんな自分を変える自信も勇気も無い。
美人で何でも頑張れる美織とは大違いだ、そんな美織に正直言って惚れ込んでいる、美織は僕のアイドルであり神である。
国民的アイドルなんかよりも美織の方が遥かに可愛くて尊い。
自分の物でも無い美織が他の男と親しげに話しているのを見てしまったら1日中気持ちが乱れて僕のメンタルは最悪になってしまう。
正直に言ってこの高校を選んだのも美織がいるからである、しかし何もできずに毎日鬱々と過ごしている。
予備校の無い日に家に帰ってやる事はせいぜいオナニーと漫画、ゲーム、オナニーの相手は当然美織である。
ネットサーフィンをしていて、アダルト動画を見て興奮してきても女優が美織の顔になり、気付けばいつも美織で抜いている。
だが僕が告白なんてとんでもない、こんあ僕なんかが美織に告白しても振られて、良い笑いものになるだけだろう。
この何をやっても中途半端で長続きせずに根性も無く優柔不断、その癖理想だけは高いのが僕だ。
美術予備校の無い日、家に帰ると両親が何か話をしている、僕の家は父さんは高学歴で一流企業の管理職である
僕はこの父親に小学校の頃に塾や家庭教師をつけられて勉強が嫌になってしまい、現実逃避の為に絵を描く様になってしまった。
今でこそ何をやらせても駄目だと分かってしまい、塾や家庭教師も強制されなくなってしまったが、何か僕は父親から見放されてしまったという気持ちを強く感じてしまった。
リビングに飲み物を取りに行くと父親が母親に何か話しをしている、どうやら仕事の話の様だ、部下の話、美織の父親の話をしている。
ちなみに美織の父親は僕の父親の部下である、だからといって美織とは決して仲良く無いし
その事を別の誰かに知らせてない、知らせる意味も無いだろうし、少し話しを盗み聞きしてみる。
「.....滝川はやってくれてたな、大混乱だ」
美織の父親が会社の金を横領したらしい、なんて事だ。
美織の父親は聞く限り余り冴えない様だ、鳶が鷹を生むという事もあるのだろう、僕は何事も無かったかの様におかえりと言った。
「滝川にはお前と同級生の娘さんがいるんじゃないか」
父親がおう、ただいまと言った後僕に聞いてきた。
「確かに居るけど興味ない、あんまり喋った事もないし」
興味無いどころか彼女目当てで高校を選んだなんて、とても言えない。
「物凄く綺麗な子よね、成績もトップって聞くし」
母親が横から口を出してくる、中学校の時から有名だったから母親も良く覚えている。
「......滝川は失職だ、娘さんには申し訳ないがな、こちらも面子って物があるからな」
な、なんて事だ.....。
戦慄した、心臓が早鐘を打つ、ネガティブな心配が頭を駆け巡る、生活が荒んだ美織が風俗落ち、ホスト狂い、AVデビュー、彼氏のDV、妊娠中絶、そして薬物と自殺......。
普段全くカッコいい絵やイラストなんて描けない癖にこういったネガティブな事にはいつも無駄に想像力が湧く、僕は部屋に戻り、ショックを受けてベッドに倒れ込んで放心していた、確か美織は片親だけだったはず、自分の彼女でも何でもない美織の事を思って今日は寝られなかった。
その翌日は僕の人生の機転の日になった。
昨日は中々寝付けなかった、内心動搖しまくりだが、何事も無かったかの様に席につく
その日は教室で何度か美織と目があった、目が合うたびに何故か怯えて目を逸らしてしまう。
放課後になり今日も美術予備校が無いので自宅に帰ろうとしていた、そんな時に
「......ねぇちょっと」
急に美織から話しかけられ、ビクッと肩を震わせる、彼女から私用で話しかけられた記憶が余り無い。
「......な、何ですか?」
何故か敬語になってしまった、こうやって憧れの異性に急に近くに立たれると嬉しさよりも、何か畏怖して緊張してしまう、目も合わせられない、自分の口臭とか体臭大丈夫だろうか?臭くないだろうか?
「......何か私の家の事とか聞いてない?」
もっと近づいてきてぐいっと顔を寄せられる、美織の瞳の中に自分を見つけると反射的に目を逸らす、緊張と恥ずかしさで目を合わせる事ができない。
なびくサラサラの髪から柑橘とフローラルの香りがふわりと飛んできて、僕の鼻に直撃する、悩殺される。
「......そういえば、お父さんが何かあったな~って事くらいしか」
「......私の家の事だけど、貴方の方から何とか言ってくれない?その代わり何でも言う事聞くから、......お父さん昔は優しくていいお父さんだったんだけども、最近色々とあって」
いきなり話しかけられて、こんな事を言われたから、頭がパニックになった、心臓が早鐘を打ち、頭に血流を巡らせる、非常事態に凄く興奮してきた。
…..本当に何でも良いのか?、例えばエッチな事とかもいいのだろうか?
美織に惚れ込んでいて常日頃から美織でオナニーしているから思考回路が性的な事に直結する。
「何でもと言ったけども例えば想像を絶する大金を用意してとか死んでとかそういうのは
無理だけど......」
「.....じゃあ例えばエッチな事とか」
頭で考えていた事が口から出てしまった、自分で口に出しておいて驚いてしまっている。
心臓が破裂しそうだ、これだけ脈が上がったのは中学校の時の競歩大会の時以来な気がする、つまり生まれて初めてだ。
美織は少し顔を赤らめ眉をひそめた。
「......エッチな事ってどの位」
「触ったり、......エッチしたり」
おどおどしながら僕は答えた、何か物凄い要求をしている、何か別の誰かが口を動かしている様な奇妙な感覚がする。
「そ、それは......、流石にエッチとかは少し考えさて欲しいんだけど」
「......じゃあ少し触らせて欲しい」
「......とりあえず少し位なら、でもエッチとかはまだ駄目、ちょっと考えさせて」
美織が戸惑いながら答える。
……え、いいのか!?今までに無いくらい心臓がなり打つ、毎日オカズにしていた美少女とのいきなりすぎる急展開に夢でも見てるのかの様に現実感が無い。
「......ちなみに美織はそういう事した事あるの.....?」
「......ない」
僕は心の中でガッツポーズをした
「......彼氏とかは?」
「......それも居た事無い」
「......でも先輩と付き合ってるみたいな事聞いたけど?」
「根も葉もない噂、向こうから良く話しかけられてきて、何か向こうが良い感じって言ってたのに尾ひれがついたみたい、私としてはその先輩の事好きじゃないしいい迷惑」
宝くじ1等が当たった時ってこんな気分なのだろうか?
もしかしたら2億円が当たった時よりもこっちの方が嬉しいかもしれない。
「じゃ、じゃあ胸を触りますよ.....」
我ながらなんか言い方キモいなと思いながらも、僕は膨らんだ乳房に手を当てた、心臓も口も手も震える。
本当は思い切り抱きしめたかったが、長年美織に抱いてきた好意がバレるのは恥ずかしく、性欲なら男子ならあって当然という事で胸を触る事にした。
「え!?、今から......!?」
驚く美織を横に、胸に手を当てる、制服の上からだと柔らかさが分かりにくい。
「ち、ちょっと......!!」
放課後で誰も居ないにしろここは教室、いつ誰が来るか分からない。
美織が動揺するのは至極当然の事であるが、頭が茹で上がってしまった僕には冷静な判断ができない。
「後......ここも」
胸から手を離し、美織の股に不自然にぱさっと手を当てる、眉間にシワを寄せた美織に手をばしっとどけられる。
「......僕が本気でお願いしたら父さんは失職を逃れられると思うけど」
美織が観念した様な顔をする。
「その代わり、絶対になんとかしてね、もしなんとかしてくれなかったら滅茶苦茶騒いでやるし、先生にも言うから、あんた学校に居場所無くなるし、下手したら退学処分だからね」
美織が何か色々と言うが、耳の右から左にすり抜けていく。
流石にいつ誰かが来るか分からない教室なので制服とブラジャーを脱がして乳房を揉むわけにも行かない、後で時間を作ってゆっくりと揉むつもりだが、折角だから少しは触りたい、興奮し過ぎてこのままじゃ収まらない。
美織のスカートの中に手を入れて、今まで見てきたAVを思い出しパンツをなぞる、柔らかい質感、少し温かく湿っぽい。
体を寄せたので彼女の華奢な体がぐっと近付く、髪と制服からフローラルと柑橘の良い匂いがする、体温を感じる、今までに無い位に股間が固くなる。
パンツに手を挿れる、ざわざわとした陰毛の感触がする、割れ目を指でなぞるとしっとりと湿っている。
生まれて始めて女性器を触った、しかもあの学校のアイドルで何年も思い続けた美織の女性器を、歓喜に満ち溢れる。
「ち、ちょっと......」
驚いてた美織が手を掴んで、引き離す、流石に僕はここまでかと思い、中断した。
後ろを振り向いて鼻をこするふりをして匂いを噛んだ、少し酸っぱい生臭い匂いがする。
美織の髪のリンスの匂いと混ざり、甘酸っぱい淫靡な匂いが鼻につく。
学年一の美少女でありながら才女の性器の香りと体臭に股間が今までに無いくらい膨張し、胸が早鐘の様に鳴ってきた、脳天が痺れる。
美織が性器を触った手が僕の鼻に当たってるのを見てわざと嗅いでると気付き、恥ずかしがり、焦って話しかけてきた。
「......ちょっとストップ、流石に今日はここまで、心の準備もできてないから」
以上は何処か落ち着いた場所でお願いしたいと言われた、日をあらためて、明後日の土曜日に二人きりで会う事にした。
帰宅途中、僕の心臓はまだ早鐘を打っている、人生で一番脈が上がった。
頭が熱く茹で上がっている、現実感が無い、ふわりとした夢心地な気分である。
帰宅しても手を洗わないで、何度も手の匂いを嗅いだ、ほんの少し生臭く、甘酸っぱい匂いがする。
うんこやおしっこをする所も想像できないあの美織の性器の匂い、さっきの美織のリンスと柔軟剤のフローラルと柑橘の清涼感のある良い匂いも思い出す。
美織の恥じらった顔を思い出し、独占欲が満たされて興奮する、そして美織は彼氏が居た事無い、美織は処女、何度も心の中をその事実が反芻する。
狂った様に手の匂いを嗅いで何回もオナニーをした、手を洗いたく無かったが、仕方なく洗い流した。
興奮し過ぎて味の分からない夕食を食べ、部屋でぼうっとする。
ベッドに横になり、何度も美織のLINEを見る、美しい宝石でも眺める貴婦人の様に僕はうっとりとする。
その日は疲れすぎていてそのまま、ぐっすりと眠ってしまった。
翌朝、美織はいつも通りのクールで居た。
対照的に僕は1日中心臓が高鳴り続け、何か体調が悪そうだけどど周囲から心配されてしまった
ずっと美織の事を見る、放課後、髪を結いだ陸上部姿の美織を見つけた陶酔感でうっとりとする、最早アニメや漫画のキャラだ、美術予備校中も中々集中できない。
ニヤニヤ笑いながら絵を描く僕を横の女子が冷たい目で見ている。
美織に会う晩、興奮しすぎてLINEにできれば下着とか貰いたいと送った、既読だけついた。
その日の夜、明日の事を思うと興奮し過ぎて中々寝付けない、初めて見る女性器とは一体どんなものなのだろうか?美織の性器を舐めたい、美織のおしりの穴を見てみたい。
学年、学校だけでは無くモデル事務所からもスカウトされまくる全国レベルの美少女、明日で美織で童貞を捨てられるのかと思うとゾクゾクした。
その日はギンギンに勃起していたが、明日に向けてオナニーはしなかった。
土曜日の午前中、ずっと興奮していて心臓が高鳴る、今日1日中、夜まで、両親は居ない、美織は13:00に来る事になっている。
自宅のチャイムが鳴る、私服姿の美織が自宅に来た、薄化粧に髪をツインテールにしていてる、新鮮だ、控えめに言って、天使、アイドルのお忍びデートを連想する。
最早アニメや漫画のヒロイン以上である、興奮し過ぎてアニメや漫画の様に鼻血が出そうだ。
「......おはよう」
「......おはよう」
誰も居ないからと部屋に案内する、お茶を差し出す。
綺麗に整理した部屋のベッドに僕は座り、美織をローテーブルのクッションに座らせる
少しコミュニケーションを取ってリラックスしたかったが、緊張し過ぎて全く会話が弾まない。
「......そろそろ良いか?」
「......わかった」
美織をベッドに呼び、抱き寄せ、不器用に体を触る、胸から股に手を当てる、
美織はパンツを脱いで、履いていたパンツをぱさりと渡される、それを自分の机の上に置く。
「......キスして良いか」
美織は無言でうなずく、このままキスをして押し倒して美織には伝えてないが、このままエッチにもつれ込むつもりだった。
キスをしようと美織を見ると泣いていた、スーッと何か急に頭が冷えてきた。
「......ごめん、ここまでで良いよ。」
「......え?」
「美織はもう帰っていいよ、それと美織にはもう話かけない事にする」
「それじゃ」
美織はバッグから用意してたパンツを取り出し履いた、僕は帰宅する美織を見送る。
美織の残り香がする部屋で僕は放心していた。
完全に僕は舞い上がっていたけれども美織はずっと辛かったのだ、美織の事を思うと胸が辛くなる。
そういえば美織の母親が居ない理由は病気による死別だった、彼女はどんな思いで今まで居たのだろうか?
僕は全く味のしない夕食を食べて、部屋に戻る
夜中々寝付く事ができない、美織の泣いた顔がずっと反芻する、その癖、美織の体に触れて興奮もしている、美織の下着の匂いを嗅ぎながら何度も美織で抜いた。
次の日、美織と目があった美織は「......あ、おはよう」と言ってきたが、無視をしてしまった、もう関わらないからという合図である、LINEを消す事ができなかったが
その日の晩、父親の姿を見つけた僕は尋ねた。
「......ねぇ、少し話があるんだけど」
「何だ、お前から話があるなんて珍しいな」
「前に話をしてくれた滝川さんの娘さんの事なんだけど、実は彼女に助けてもらった事があるんだ、中学の時に骨折した時にすぐに介抱して貰って先生とか呼んで貰って」
父親に何とかお願いする、本当は一目散に駆けつけてくれたのは暑苦しいバレー部顧問の体育教師だったのだけれど。
「彼女は滅茶苦茶美人でモデル事務所からスカウトされまくっている、頭が良い、そんな彼女の人生を潰してしまうの?」
「彼女のお母さんが亡くなってしまって、父さんも大変だったみたい」
父親は少し考えて
「そうか...、そんな事があったのか、......娘さんに免じて今回は見逃すか.....滝川も大変だったんだろうな」
父親は失職では無く、減給等の処分にしてくれると約束してくれた。
そうしていつもの学校生活に戻った
あいも変わらずクールで淡々としている美織を少し遠目で見る、あの件以降、美織に物凄く惚れ直してしまった主人公、美織に合うたびにあの逢瀬、涙を思い出す。
廊下で彼女とすれ違い、ふわりと彼女の柑橘とフローラルの甘い香りが鼻につく、部屋での逢瀬が鮮明に思い出される、彼女の匂い、性器の肌触り匂い、胸や体、そして彼女の涙。
僕はどうしようもなく切ない気持ちになり、少し歩いて人目の居ない場所で佇んでしまった、目頭が熱くなる、他の生徒達の声が聞こえてきたので涙を堪えた。
美術予備校でも先生のいる時は絵を描くフリをしたが、先生が居ない時は下を向いてピクリともしない躁鬱な僕を隣の女子が今度は少し心配してくれて、帰りにチョコレートをくれた。
予備校の無い日、家に帰る、また悶々と漫画を読んで、ネットサーフィンをしてオナニー、av女優の顔が美織に代わる、机の鍵を開け、美織から貰った下着に鼻を当て、美織の匂いを吸い込む、愛おしさで悶える、こんな事をするたびに虚しさが募ってくる。
いつもの2倍は虚無の賢者タイム、30分程放心した後に元気が出てあらためて僕は美織の事が滅茶苦茶好きだと実感した。
彼女のルックスもそうだが優しい彼女が好きだ、僕は美織の優しさを知っている。
彼女は優しかった、決して人の悪口なんか言わずに、小、中学校とカースト下位の子とも付き合ってたし、皆が見てない所で良く先生の手伝いや掃除をしていた。
僕なんか両親が居てもこうやって、何もできないのに、彼女は片親で勉強や部活以外にも家事やバイトをこなしている。
これから時が経て、美織が陸上部のチャラい先輩だったり他の異性に取られるのは絶対に嫌だ。
家庭の事情も知っている、余計なお節介かもしれないが彼女を支えたい、僕は美織の事を他の誰よりも知っている。
どうしたら彼女と付き合えるのかと考えた、結論が出た。
僕が彼女に好きになってもらえば良い、結論も何も最初からわかりきってた事だ、今までずっとその答えから逃げていた。
向き合う覚悟ができた、好きになって貰える様に、釣り合う様に、美織以上になる為にも何もかも頑張るしか無い。
そう決心したら、ジーンと体も頭も熱くなってきた、何かエネルギーが満ち溢れてきた。
「走ろう」
押入れから中学校の体育の時間で使ったきりの運動靴を取り出して着替えて履いた、行き先なんて決めてない、とにかく目の前の道を走った、体が熱くなってきた、頭も熱い、走りながら色々と考えた。
途中転んだり、ヤンキーや車にぶつかりそうになっても走った。
もう勉強も運動もコミュニケーションも何もかも頑張ろう、やるしかない、なんとしてでも美織を自分の物にしてみる、美織を自分に惚れさせてやる、絶対に手に入れてやる。
美織が好きだ。
「うおおおっ!!」
興奮し過ぎて声が出た、通報されて、警察が来てもそのまま振り切る位の勢いで街を駆け抜けた。
僕はエネルギーの塊、何でもできる気がしてきた
気づくと10kmも走ってきたのだろうか、普段運動なんて全くしないので汗だくで疲労困憊している僕を見て母親が何事かという顔をしていた。
シャワーを浴びて体育の授業で習ったストレッチをして、床につく、何故か心は今までに無いくらい安らかな気分だった。
次の日、いきなり10kmも走ったから筋肉痛で脚が痛い。
その日の授業から積極的に質問して、手を上げてノートもしっかりと取った。
先生や周囲がおやという顔で見てくる。
自宅に帰って、教材や落書きだらけのノートの整理をする、あらためて自分は全く授業を聞いてなかったと実感する。
体育の授業も同様だった、美織の事を考えてと勇猛果敢に体育の授業に取り組んだ、サッカーの授業も積極的にパスを受取り、シュートを決めようとした。
サッカー部の色黒いやつが妨害する、決して悪いやつでは無いがちょっとちゃらい所がある奴なので、美織に言い寄ってきた陸上部の先輩とだぶってきた。
何故か怒りが込み上げてきて、渾身で交わし、ぶつかり合う、ゴールまで一直線に進む、負けたくない、美織も見ている、そのまま得点を決めた、人生で初めての得点、周囲が騒然とする続けて2得点、ハットトリック。
周囲や、特にサッカー部のやつは唖然としている
その日は僕のおかげで全体の士気があがって高校生活で一番盛況した。
普段余り運動に乗り気じゃない奴等までやる気を出して、点を決めた。
最後の集会で、体育教師から、何かお前ドーピングでもしてるのかとからかわれる。
皆から手や肩を叩かれる、カースト下位のやつにも楽しかったなとと盛り上がった
帰り際「お前、うちに来いよ」サッカー部のヤツからとスカウトをされた。
美術予備校もあるから週3程度の練習だ、非常に楽しい
それでもレギュラーになって、もっと練習に来て欲しい、エースになれると言われた。
サッカー部の部室は陸上部と近いので美織とも良く会う、僕は顔を合わせても無視をした、美織は最初は挨拶してくれたが、僕が無視をするので挨拶をしなくなった。
こうしてみると勉強や運動も苦手意識が付いてやらなかっただけで能動的にやると結構面白い。
美術と平行しながら進める、運動をする様になってから体力や集中力もついてきた、夜もぐっすりと眠れて、授業や美術の集中力も上がってきた。
僕のやる気に美術予備校の先生も驚いてた、コンクールで良い賞を取る、これだと最難関の東京芸大も視野に入れても良いかもしれないという話になった、両親に電話が来た。
成績もうなぎ上りでテストは10番以内に入ってしまった、美織よりも上の順位だ。
贅肉ぶよぶよだったのが、筋肉も付いて肌の色も健康的になってきた、物凄い好循環だ。
一心不乱だった、美織の事を思うと物凄くエネルギーが湧いてきて、何でもできた。
決して巷の恋愛神話の女子達と同じ思考回路にはなりたくないが、恋のエネルギーは凄まじい。
父親はずっと嬉しそうにしている、何か欲しい物は無いかといつも聞かれる、特に無いと答えて、たまに運動靴や参考書籍などと答える、そう言うと満面の笑みをもたせた
運動靴、ジャージはとびきりいいものを買ってくれた。
参考書代にと1万円札を渡されて、そんなにいらないからとお釣りと8000円程返すとますます喜んだ。
運動靴とかも余り目立ちたくないからもっと安いので良いのに、でも大切に履こう。
夫婦仲も喧嘩ばっかしてたのに最近良い感じになっている。
カースト下位のキョロ充気味のムードメーカーだった僕はいつの間にかクラスのリーダーになっていた。
他の下位の奴等にも、自分の事を思い出し、自信を持たせようと中を取り持つ。
練習終わりに後輩からラブレターを貰った、ごめん好きな子がいるからと振る。
その事が教室で噂になり、好きな子ってだれ、他校の子と答えると、偶然近くに居た美織は何故か悲しそうな顔をした。
例え振られても、思いを伝えようとそろそろ告白を考えていた矢先、放課後の廊下で陸上部に行こうとする美織とばったり会った。
「.....久しぶり」
「......おう」
「ねぇちょっと」
少し驚いてしまったが、僕は照れ隠しでそのまま部活に行こうとする。
服の袖を引っ張られる、こうやって話しかけられて、引き留められて正直に言って嬉しい。
「今急いでるんだけど」
僕はそっけなく返す。
「少し話せない?」
「......少しだけなら」
ちらほらと人の居る、教室に案内された。
「どうして私の事無視するのよ?」
「美織は俺の事嫌いなんじゃないか?」
「そりゃいきなり段階を経ずにあんな事になったら大抵の子は怖く泣いちゃうと思うわ、......別に貴方の事、昔から嫌いじゃなかった」
…...え、そうなのか?いきなりの告白に混乱する、でも素直に嬉しい。
「.....というか、中学校の頃から何かちょっと気になる子だなって思ってた、テストだってて点は低かったものの、私が解けない問題解けてたし、何か自信持ててないけど、もっと自信持って頑張ればいいのにって、結構人の見てない所で色々と人にも優しかったし、みんなが散らかした後片付けとかもしてたし」
……そういや今更ながら、嫌いな男性の家に化粧してくるかとも今思った。
「......いや、てっきり嫌われているのかと思ってたけど」
「決して嫌いでは無いよ、ただいきなりああいった事はちょっと怖い、男の人の気持ちは分かるけど、段階踏んでからでは無いと......。」
「美織」
僕は今までロクに合わせられなかった目を美織に向けて美織の目を見る、今度は美織が目をそむけた。
「あの時はごめん、俺、自分が見えなくなってた、もう美織に関わらないつもりだった」
「いいよ、しっかりとこうやって謝って貰ってるし、それにしっかりと私のお願い事も聞いてもらったし、私そんな大した事してないけど」
「それとあらためてなんだけど、美織に言いたいことがあるんだ」
「.....何?」
「美織の事中学校の時からずっと好きだったんた、美織俺と付き合ってくれないか」
「......私で良ければ」
美織は目を丸くした後に頬を染め、下を少し向いて答えた。
気づくと美織を抱きしめていた、美織は顔を赤面にして泣いていた
残ってダベっていたギャルがこっちを向いて目を丸くさせ、と嬌声を上げる
美織に連敗していたヤンキー風の男子も目を丸くさせた後、驚きとショックでピシッと固まり始めた、その後何故か口元をふっと緩めてこちらを冷やかしてくる。
まだちらほら人の居る教室、明日には学年中噂になってるだろうな。
疾走~非モテな僕が陸上部エースのクール美人の匂いに悩殺されて頑張る様です、やる気が出ないそこの貴方へ送る物語~ SHIN @kimusin
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