クラスの陰キャの俺は陽キャ達に片想いの相手が好意を寄せていると教えて貰った。告白したらあっさりフラれた。しかし、告白したクラスのマドンナに友達から始めようと誘われた
白金豪
第1話 遠い存在
俺、
同じ男子バスケ部のメンバーは陽キャが多い中、俺は性格的な問題から陰キャとして学校生活を過ごす。
そんな陰キャの俺も恋ぐらいする。しかも片思いだ。恥ずかしながらな。
その思いを寄せる相手は同じクラスのマドンナの中川千尋さんだ。
黒髪のロングヘアに吸い込まれる緑の瞳の王道系の美少女だ。
中川さんとは頻繁に自由参加の朝練で頻繁に目にする程度の関係性だ。会話など殆どした経験などない。クラスのライングループには入っているが、中川さんのラインを追加していない。追加され待ちだ。
たまにアイフォン5Sを使ってグループラインを開き、中川さんのラインのプロフィール画像を眺めている。さらにツイッターなどでも中川さんのアカウントを探しては内容を確認したりもしている。フォローなど決して出来ないが。
バトミントン部の中川さんは、いつもペアらしき女子生徒と一緒に一生懸命に練習に励んでいる。
そんな中川さんとは離れた場所で、俺は毎回バスケのシュート練習に取り組む。ただそれだけだ。
完全に一方的な片思いでしかない。
そんなある日。この俺に転機となる出来事が起こる。
「なぁ。中川がお前のこと好きらしいぞ」
5月の初旬の放課後。クラスの陽キャでスクールカーストトップクラスの岡崎が、教室を退出して部活に向かうために階段を降りる俺に声を掛ける。
「え? そんなことあるわけ…」
俺は即座にウソだと信じ、軽くスルーする。
「それが本当なんだって。俺もこいつも中川本人の口から聞いたんだから」
「ああ。そうなんだよ。岡崎と一緒にしっかり聞いたんだからな」
岡崎と友人の渡辺は何処か楽しそうな笑みを浮かべながら同調を示す。
「そんなことあるわけ」
俺は2人の言葉を聞くと、不思議と信憑性を感じた。岡崎達の2人は時折、中川さんと会話をしている姿も見かけていた。また、たまに岡崎のSNSにも中川さんが搭乗していた。そのため、岡崎達の言葉には妙な説得力があった。
「まあ。いいや。信じるか信じないかは、お前次第だからな。一旦伝えたからな」
岡崎は用を終えたとばかりに友人と一緒に俺の横を通過し、階段を駆け足で降りる。すぐに岡崎達の姿は俺の視界から消えてしまう。
俺だけが階段に取り残されてしまう。
階段で呆然としているとイチゴのような香りが俺の鼻腔をくすぐる。
何処かで嗅いだ経験のある香りであった。
俺は素早く匂いの方向に視線を走らせる。
何と中川さんが俺の横をゆっくり通過した後に、階段を降りていた。俺よりも先に。
不思議とこの瞬間を逃すわけには行かないと思った。根拠ない自信だけがあった。だから。
「ごめん。中川さん。ちょっといいかな? 」
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