第33話



 マンションのベランダに飛ぶ。


 路地の中心を走る敵の背後は、そこら辺にいる高校生のような身なりだった。


 フード付きのトレンチコートに、青いスニーカー。


 下手に近づくのは得策じゃない。


 まだ、情報が少なすぎる。


 敵が単独で動いていない可能性もある。


 慎重にいくところはいかないと、取り逃すことにもなりかねない。



 中距離から、少しだけ近く。



 電線の上に上り、視覚を広く保った。


 狙いやすい位置にいる。


 攻撃をするなら今だ。


 狙いを小さく絞った。




 電弾(サンダー・ボール)




 右手を前に出し、人差し指にエネルギーを集める。



 ボッ



 電気が迸る。


 狙いを絞った一点から、不規則な形状の弾丸が飛び出す。



 ——バチッ



 命中。


 攻めるなら今だ。


 地面の上で怯んだ一瞬の隙。


 逃すわけにはいかないっしょ。



 バッ



 つま先を弾く。


 強く蹴った勢いで、電線は揺れていた。


 ブロック塀で囲まれた道路の中心へ、——飛ぶ。


 敵のすぐ後ろに着地した後、背中を掴んだ。


 チャンスだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る