第10話
母親に会ってみたいわけじゃなかった。
会ったって、どんな顔をすればいいかもわからないし。
血の繋がりなんて所詮生物学的な繋がりがあるってだけで、それ以上でもそれ以下でもない。
血の繋がりがあったって、お互いの関係が決まるわけじゃない。
実験データのサンプル。
私たちにとっては、それ以上でもそれ以下でもなかった。
彼女とは赤の他人も同然で、会う義理もない。
だから、別に大した問題じゃなかった。
どうでもいいってわけじゃないけど、重要なことでもないというか。
「どしたの?小難しい顔して」
「…ん、ああ、ごめん」
咲はいい子だ。
初めて会った時、そう思った。
世の中の人たちがどんな「人」かを、まだ、掴めずにいる自分がいる。
バケモノ扱いしてくる人がいたり、そうじゃない人がいたり。
咲にはまだ、自分の秘密を話したことはなかった。
学校のみんなにもだ。
話したって、どうせろくなことがない。
打ち明けたいとも思わなかった。
本当の「自分」なんて、私にとってはどうでもいいことだったから。
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