天空の巫女と魔法の記憶
@koyomi8484
プロローグ
「これはすべて君の物語だ、ユリア」
あの時、彼女は確かに私にそういった。その声色、波長、余韻。すべてが鮮明に、脳裏に焼き付いている。それは今にも消え入りそうな、儚い声で、でも芯があって心に直接響き渡るようなそんな声で。
彼女が誰か、どこで出会ったのか、どんな顔をしていたか、それは残念ながら忘却の彼方に投げ出され、もうよく思い出すことはできない。無理やり思い出そうとすると、頭の中に残ったぼやけた輪郭は糸が解れていくように、段々と薄く、呆然としたものへと変わっていってしまう。そんなとき私は、大切なものが崩れてしまうのではないか、という不安に駆られるときがある。
でも何も覚えていない、というわけではない。彼女が綺麗な金髪で、滑らかな白い肌が美しかったという記憶は今でも鮮明に私の網膜に焼き付いている。それは柔らかく、優しくて、いつも私を陰ながら支えてくれているようなそんな記憶となって。
そうだ。これは私の物語。運命の悪戯で巻き込まれてしまった壮大な物語。
私がちょうど、あの学園を卒業するところから、全てが始まる。
そして今日も私は、夜空を見上げながら、願おう、そして思うのだ。
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