俺を10年間ストーカーしていたのは学校1の美少女だった

田中又雄

第1話 ストーカー

「...また盗まれた」


 結構お気に入りだったパンツがなくなった。

今年で3回目である。

いや、別に珍しいことではない。

一人暮らしを始めてからよくある出来ごとというか、風物詩みたいなものだ。


 高校生でありながら、親の仕事の関係で俺は一人暮らしをしていた。


 そして、どうやら俺にはストーカーがいるらしい。


 気づいたのは数年前の中学2年の時のことだった。


 学校の女の子と2人で遊ぶことになったその前日のこと、学校の下駄箱に手紙が投函される。


『あの女はやめておけ。あの女は色んな男に手を出している。もしデートに行っても後悔するのはお前だ』と、手紙と共にその子が色んな男子と手を繋いで歩いている写真が同封されていた。


 違和感、というより不思議なことはたくさんあった。


 いつも誰かにつけられているような気配とか、自分の私物がなくなったりとか、自分の部屋で女の子っぽい匂いがしたりとか...。


 しかし、全ては自分の気のせいであり、自分の勘違いであり、思い込みであるとそう思っていたのに...。


 結局、俺は女の子と2人で出かけるのをやめた。すると、その子はすぐに違う男子と付き合った。


 誰でもよかったのか、それともからかいたかっただけなのか、今では分からない。

それでもまぁ、あの手紙には少なからず感謝していた。


 だが...一体誰なのだろう?

俺に好意を寄せてくる女子なんかに心当たりは全くない。

並程度の顔面偏差値と並程度の偏差値。

平均程度のコミュ力に、平均程度カリスマ力。


 目立った特技も、際立った才能もない。

こんな俺を誰がストーカーするのか。

結局、それからもその正体は分からずじまいで、18歳の誕生日を迎えようとしていた。


 ◇2024年7月30日 11:55


 さて、もう少しで18歳の誕生日を迎える。


 祝ってくれるのはほとんど家族だけであった。

と言っても電話で祝ってくれるだけであるが。


 今までも誕生日が夏休み期間ということもあり、学校で友達に祝われることなんてことはなかったので、今年に関してもそれは望めないだろう。


 というか...そろそろ彼女の1人くらい欲しいものだ。

しかし、現状は女友達の1人もいないわけで、それはまた夢のまた夢である。


「...はぁ...可愛い子とイチャイチャしたい」


 そう呟きながら携帯の時計を眺める。


 あと、数分で俺も成人か。

体はデカくなっても精神的に全然大人になった気はしないのだが...。


 そうして、ぼんやりと眺めていると、11:59を指していた。


 あと1分か...。

そうして、秒読みが始まる。


 55...56...57...58...59...00:00。

ハッピーバースデー、俺。


 そうして、1人で自分を祝っていると、ベッドの下から何か音が聞こえる。


 もしかして...ネズミとか?

後から判断すると虫とかそういうのでは気がするが。


「...なんだ?」


 そう思って、ベッドから降りて、少し警戒しながら、ベッドの下にかかっているシーツをゆっくり持ち上げる。


「...おめでとう、愛しのゆうくん」


 そこに居たのはなんと...小学校からの同級生であり、学校で一番可愛い女の子である、花塚愛華だった。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093089972736481

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