『図書館の魔法司書』~転生したら最強スキルは図書館司書でした~
ソコニ
第1話 図書館の帳簿
薄暗い空間で目覚めた時、私は自分が死んでいたことを思い出した。
前世の記憶が、波のように押し寄せる。図書館司書として過ごした日々、整然と並ぶ本棚、データベース構築に没頭した時間——そして、終業後に起きた事故の記憶。
「目が覚めましたか」
静かな声に顔を上げると、そこには銀髪の少女が立っていた。不思議と違和感を覚える。幼い容姿に似合わない、深い色合いの瞳。まるで何百年もの時を見つめてきたような。
「私はミラ・アーカイブ。王立中央図書館の主任司書です」
彼女は分厚い帳簿を手にしていた。表紙には見覚えのない文字が並ぶ。しかし、その装丁や背表紙の仕様は、間違いなく図書館の蔵書台帳。司書の直感が告げていた。
「藤堂累さん。あなたを、この図書館は選びました」
ミラの言葉に首を傾げる間もなく、彼女は一冊の本を差し出した。開くと、そこには私自身のことが記されている。前世の記憶、図書館での経験、そして——死の瞬間まで。
「図書館司書としての知識、経験、それに魂の在り方。全てが記録されています」
私は思わず聞いた。「なぜ、私が...?」
その瞬間、建物全体が小刻みに震え始めた。ミラの表情が一瞬だけ歪む。
「九階書庫の封印が...また不安定になったのね」
彼女の呟きに、背筋が凍る。通常、図書館に「封印」など存在するはずがない。しかし、この世界の図書館は違うのかもしれない。
「藤堂さん」ミラが真剣な眼差しを向けてきた。「あなたの図書館司書としての知識と経験。この世界で、それは最強の力になり得ます」
彼女は古びた鍵を取り出した。
「さあ、案内しましょう。あなたの新しい職場へ」
扉の向こうには、幻想的な光に照らされた巨大な図書館が広がっていた。そして、私には気づいてしまった。書架の配置が、まるで何かの魔法陣のように見えることに。
これが、私の新しい人生の始まりだった。
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