Episode 002 君はアリス。僕の友達。
――それは今日から? それとも出会った瞬間から? そのどちらでもなかった。
あの踏切の手前、飛び出す前に、君は僕の手を引っ張った。そして今ここにいる。
それは君の御城。梅田の地下から流れる人混みに紛れ、まるで異世界のトンネルのように潜ったこの道程。今はシャワールームで、君と洗いっこしていた。
泡の向こうから覗く白い肌……
「綺麗な肌、羨ましいくらい……」
と言ったのは、まるでフランス人形のようなアリス。白い肌は君の方。そして何々、重なってきた唇。君の息遣いが広がる僕の唇……すると、唇が離れたタイミングでクスッという漏れる笑い声。その向こうで、
「
長い髪、金髪の。それはアリス。
見た目は僕より幼く見えるけど、まるで僕よりお姉さんのような感じの子。
ボブの僕の髪は黒色。でも「綺麗ね、エンジェルリング」と言いながら、アリスは僕の髪を乾かしてくれた。女の子同士なのに不思議な感覚。僕には未知なる世界。
そして何これ?
大きなテレビから繋がっている機械。それでもって「はい、これ持って」と、アリスはコントローラってものを持たせてから「レディーゴー」との掛け声でスタートした。
何が始まるの? と思いつつも声なき声。何かキャラが出てきた。コントローラーを動かしてみると、アリスは言うの。満面な笑みで「いい顔してる」って。そうなの?
僕は笑っている? アリスのように。
心がホンワカと温かくなったような。……楽しい時間は、まるで流れ星のように過ぎ去るけど、それ程に楽しかったのは確か。帰りは車で送ってもらった。アリスは僕と後部座席。運転しているのは何か、ホテルの従業員みたいな趣の男性で、彼女のパパではない。
まるで夢のような一時に思えたけど、……「また明日」と、アリスは僕に言った。
短編・君はトモダチ! 大創 淳 @jun-0824
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