第1話


「実はね、私、好きな人がいるの。」

「愛衣がそんなこと言うなんて珍しいね。ちなみに好きな人って誰?」

「水島君。」

「知也?知也って水島の?」

「うん。その水島君。」

仁美は少し考えた上で、

「お似合いだと思うよ。いつ、どこで、どんな風に好きになったのかは愛衣がフラれたときにたっぷり聞くから、楽しみにしてるね。」

と冗談めかして言ってくれた。

やっぱり、仁美は私の親友だ。こうやって少し空気が重くなるような話も仁美と話せばすぐに面白い話に早変わりする。ほんと仁美には感謝してもしきれない。

その後少しお互いに別の話をして今日の勉強会は終わった。そして仁美を駅まで送ろうとすると、

「今日は寒いから、そんな駅まで送らなくていいよ。家に入ってて。」

と強く言われたので玄関まで仁美を見送った。最後まで心遣いのある優しいのだなあ、とつい一人感心してしまった。

仁美が帰った後はいつものようにお風呂に入り、暖かいご飯を食べて寝室へと向かい、今日のことを振り返った。

変な言い方だったけど、仁美は応援してくれた。だからこそ、私は明日水島君に告白しようと心に決めた。でも、告白が上手くいくかどうかわからないということに私はすぐに気づいてしまった。そして、それを忘れるべくベッドの中に潜り込んだ。



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2024年12月27日 00:00
2025年1月3日 00:00

キセキ 司馬春海 @djtmpgmug

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