・女装バーは心地いい
「なあ、この店行ってみないか?」
俺は同僚によって最近できたバーに足を運ぶことになった。
「あら、いらっしゃい」
迎えてくれたのは少しハスキーな声の美人で、とてもいい匂いがした。
「ほら、これも美味しいわよ」
「あらあら可愛い坊やね」
「うふふ、いい子」
キャバクラとは違い全員の声が低く聞き心地が良い。おまけに顔はもれなく美人で客商売だと分かっている分別を感じられて相手に入れ込むこともなく、気分良く酒を飲むことができた。
「ここめちゃくちゃいいだろ?」
「めちゃくちゃいいよ。キャバクラより疲れなくて居心地がいい……」
あまりの居心地の良さに俺はすっかりそのバーの虜になっていた。
「なんでここが居心地がいいか、教えてやろうか?」
同僚は何かを企む顔をして俺の耳元で囁く。
「実はな、ここの店員は皆男なんだよ。騙されただろ!」
俺はああそうかと素直に納得する。同じ男だからどうされたらリラックスできるか分かるのかと。同僚はしてやったりという顔をしたが、俺は特にショックを受けなかった。
女性の高い声ではなく低く耳心地が良い声で、とても美人、おまけに接客の居心地がいい。
「キャバクラよりこっちの方がいいなぁ……」
その日から、俺は癒されたい時はその女装バーへ行くことにした。
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