さっそくダンジョン作ってみる

 スレ主こと俺、高尾たかお蓮人れんとは早速次の日裏山に来ていた。


 行き来しやすく、かつ木々で見えにくい場所を選ぶ。


「うん、このあたりか」


 ここまでの道のりの傾斜は急じゃないし、森が太陽光を遮ってくれているおかげで薄暗い。

 目の前の崖に迷宮の入り口を作れば──完璧だ。


「えっと、これどうやって使うんだ?」


 15歳でスキルを預からなかった身としては、マッジで使い方分からんのだが。


 高校で使い方講座みたいなのあった気がするけど、スキル覚えてないのに誰が聞くねん、あれ。


 ただなんか、スキル名を言うとかな気がするんだよな。


 ソース元はもちろんラノベだが。


「スキル、迷宮管理者!!」

『迷宮無いのにどうやって管理すんだよばーか』

「はっ倒すぞごらアアァァァ!!!!」


 俺は足元にあった石ころを力任せに蹴っ飛ばした。


 嘘だろ、スキルにすら煽られるのか? 親父にも煽られたことないのに!


 というか、スキルってしゃべるんだな。授業聞いてないから知らなかったぜ。


「ならどうすればいいんだ?」

『無いなら作ればいいだろ?w』

「だからその方法聞いてんだろうがあああ!!」


 会話流暢すぎないか!? あと煽りも!


『迷宮創造って言うだけだって』

「いやそれだけなんかい。『迷宮創造』」


 すると、俺が考えていた通りの場所がゴゴゴと音を立てながら光りだした。


 少しすると、中が不思議なほど真っ暗な洞穴が出来ていた。


「お、おお!!」

『どや』


 なんか、弱そう!


 だが、俺だけのダンジョンがほんとに出来たという事実には変わりなかった。


「こ、これもう中に入れるのか!?」


 俺はめちゃくちゃワクワクしながら、洞穴の中に入っていった。


 すると、唐突に浮遊感に襲われ、わっと驚いているのもつかの間、何もないだだっ広い石造りの空間にやってきていた。


「す、すげえ……」

『んじゃ、あとはさっきみたいにスキル『迷宮管理者』って言ったらいろいろできるから、自由に改造してくれたまえ』

「おいおい……ムカつくお前ともおさらばできるとか最高じゃねえか……いて」


 どこからか飛んできた小石が頭にぶつかった。


 ふ、まぁいいさ……いて。精々悪あが……いて、いててて。ちょま……


「多いわボケェ!!!」


 閑話休題。


「えっと、スキル『迷宮管理者』ッ!」


 俺がそう言うと、バババババッと大量の光の板が目の前に現れた。


 すげえ、マジで何もかもできるのか……


 俺はその内容にざっと目を通し、まず一番必要な項目を変更した──!!



315.スレ主

おっけ、ダンジョン内にも電波通るようにしたわw


316.名無し

>>315 おま、早速始めたんか!


317.名無し

>>315 すげ、マジで作れたのかよ……


318.名無し

>>315 いやまずそれかよwww

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