第3話 初雪を纏い微笑むマリヤ像

富岡教会は、小樽駅の側面から山側に向かう地獄坂の途中にあったと

記憶している。近くに友人の下宿があり、その行き帰りに教会がチラリと

垣間見えた。しかし、教会に近づくことはなかった。


当時の私は、信仰心からは程遠いのだが、ドストエフスキーなどを

意気がって斜め読みしていた、そんな学生であり、

正直聖書もよく理解できなかった。


そんな私でも年齢を重ねると、神社仏閣を訪ね歩くことが苦にならないように

なった。多分、宗教心、信仰心というものは、理解するものではないのだろう。

スター・ウォーズの有名なセリフ「考えるな、感じろ(Don't think but feelかな?)」

のように、非言語的な体験が宗教的な体験であり、人類の上位者に対する畏怖の観念を肌で感じるものなのだろう。


富岡教会にマリヤ像があると知ったのも小樽を離れ、都会で企業戦士として忙しく

働くようになってからだった。


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