禁忌破りのアイドルたち~男女八人夢物語~
阿弥陀乃トンマージ
記者会見での発表
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「……来たぞ!」
東京のとある有名ホテルの一室で行われることになった記者会見。新聞社、テレビ局、雑誌社、ネットメディアなど、合計百社以上の媒体が集まっている。そこに、今日の会見の主役である長身でスタイルが良い、短く整ったロマンスグレーの頭髪と端正なルックスを併せ持つ男性が登壇し、一斉にカメラが向けられる。男性は深く一礼した後、用意された席に座る。司会の女性が話し始める。
「え~本日はご多忙のところ、『
司会に促され、会見場の視線が改めて、ロマンスグレーの髪をした男性に向けられる。烏丸と呼ばれた男性はマイクを手に取り、立ち上がって話し始める。
「……本日はお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。これほど多くの方々が来てくださったことに大変驚くと同時に嬉しく思っています。この半年ほど、お休みと言いますか……皆さんの前には顔を見せませんでしたので、今日は誰も来てくれないのではないかと、もう不安で不安で……。昨夜はたった9時間ほどしか眠れませんでした」
「ふふっ……」
「ははっ……」
烏丸が低く、よく通る声で冗談を言う。集まった記者たちからは軽い笑いがこぼれる。
「この半年間ですが……実は、新事務所設立に向けて色々と動いていました」
「……!」
シャッター音が響く。記者たちもペンを走らせたり、キーボードをカタカタと打つ。
「この場を借りて……まだ10代で右も左も分からなかった自分を、約30年、時に厳しく、また時に暖かく、見守って、支えてくださった以前の所属事務所の皆さまには深く感謝を申し上げます……水面下で何度か話し合いを重ねた末での事務所退所となります。最終的には快く自分の背中を押して頂きました。決して揉めたわけではありません。あくまでも円満的な独立ですので、その辺りはご承知おきください……」
「……」
「新事務所名ですが……『シャイニングプロダクション』と名付けさせて頂きました。文字通り『光り輝く』ようなタレントを育成・輩出することが出来れば良いなと考えております……お察しの通り、自分、烏丸四季は事務所社長業、プロデューサー業に回り、いわゆる芸能界の〝表舞台〟からは身を退かせて頂きます」
「……⁉」
「これから大規模なタレントオーディションを開催します。概要は……」
報道陣からどよめきが起こる中、烏丸は淡々と説明を続ける。
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