盲愛の枷

第1話 慣習

「すまないよう。私が貴品になった

 ばかりに・・・」


「父上のせいではありません。私は

 いずれこうなるだろうと覚悟して

 おりました」


浩歴30年5月瑶の父李月リ ユエ

第12代皇帝である浩然から命を受け庶民が

昇進できる最高位の貴品3品になった。

地位が高くなることは、宮殿にいる者なら名誉

だが李月は違った。何故ならば貴品3品以上の

地位にある者は例外なく娘を皇帝か皇太子の

後宮に入らなければならないからだ。

李月には明洛、瑶二人の娘がおり

明洛は皇帝の後宮、瑶は皇太子の後宮に

入ることになっていた。


「明洛は従7品の美人を賜り、瑶は

 属7品の才人を賜った。明日から

 荷造りをしなさい。」


「・・はい、父上」


父から後宮の恐ろしさを何度も聞かされいた

ため、後宮になど行きたくないと思う一方

父が努力して得た地位を守らなければ

ならないという、使命感もある。

様々な感情が交差していた。

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