想いを繋いで1.見つけた。私の居場所!
Veroki-Kika
第1話 見つけた1つの物語
三花は高校2年生の女の子。成績優秀,クラスでも人気者。
でも,三花はいつも学校へ行くことに抵抗があった。
いつも学校へ行くと,息苦しさを感じるのだ。
最近は,特定のこと以外何も感じられない。
「なにか…ないのかな…」
今日はいつものようにすんなり寝付けなくて,カチャカチャと自分のノートパソコンをいじっていた。
自分の趣味である読書。
最近,ネットの小説作成,読書アプリとして人気急上昇中の『ヨムヨム』で読書をするのにはまっていた。
数少ない,三花にとって楽しいと思えること。それがヨムヨムでの読書だ。
「あれ…なんだろ…これ…」
三花の目に,1つの小説が目に止まった。
このアプリは,タイトル,表紙,イラスト,字体の編集,あらすじ説明文が作れる。
でもこの小説は,タイトルなし,設定できる表紙・イラストも無し,説明もなしの小説。
三花は開くつもりはなかった。スルーするつもりだった。
でも…
カチッ。
気がついたら,それをクリックしていた。
そこには起承転結,と書かれた文が少し。
「これは…あらすじ…?」
書かれていたものは,物語のあらすじだ。
本当に短い文で書かれている。
「これ…文にしたら面白そう…」
三花はこう言う文を長い小説にするのが好きだ。
でもあらすじを考えるのが大の苦手だった。
だからこういうのはありがたい。
気がついたら,小説のコメント欄に書き込みを始めていた。
とりあえず起の部分だけ。
スラスラとかけて,気持ちいい。
「かけた…」
かけてしまった…それに,まだ書きたいって気持ちが出てくる…
カチッ。
コメントを送信する。
やけにスッキリしてる。
眠気もスッキリ。ミントガムを噛んだみたいだ。
三花はパソコンをもう1度みた。
やけに明るい画面が,三花の書いたコメントを照らしている。
三花は他のコメントを見て見る。
『この小説の表紙を書いてみたんですけど,みてくれると嬉しいです』
と書いてある。その下には幻想的な円に囲まれた女の子と,その横で微笑む男の子が描かれている。けれど,どこか味気ない。
コメントの時間はついさっき。三花がコメントしたのと同じくらいの時間だ。
他には,同じくらいの時間に,
『表紙に少しエフェクトを加えたり,字体を変えたりしてみたんですけど,どうですか?』
と書かれている。
「お水…取りに行こう…」
三花は冷たい階段を降りて,リビングでお水をゴクッと煽る。
そして戻る。
「あれ…?私が打ったコメントに,返信…?」
そっと通知ボタンを押して返信を確認して見る。
「ウソ…あのHanaって…さっきのタイトル無し小説の人…」
そう。返信を打ってきたのは,Hanaだったのだ。
「このコメント…ウソでしょ…?」
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