第3話

此処は私が結婚前から勤めている老舗和菓子店【ときわや】。


戦前から続く有名店で今や暖簾分けしたお店は日本全国に散らばり、そしていくつもの大きなデパートの中にもお店を構えるほどの一大和菓子チェーン店の本店が此処だ。


お店を一代で大きくした常盤ときわのすけは70歳になった今では親族に経営を任せ悠々自適な隠居生活を送っていた。


そんな弥ノ助と結婚したのが私、常盤里咲ときわりさだった。



弥ノ助さんと私は歳の差50。


どうしてそんなおじいちゃんと結婚したのか不思議に思います?


まぁ、一般的に普通と呼ばれる結婚で50歳差というのは珍しいのかな。


……珍しいんでしょうね。


でも私と弥ノ助さんが結婚することはごく自然で当たり前で、そして──運命だったんです。




「おーい、里咲ちゃん。蒸し上がった饅頭、店頭に並べてくれるかな」

「はーい」


今は仕事中なので詳しいことは話せないけれど少しずつ私たちのことを知ってもらえたらいいなと思います。

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