第12話
オフィス街から少し離れている場所にあるうちのお店だけれど、平日のお昼時はそこそこお客さんが入って来る。
「いらっしゃいませ!」
「お、今日も別嬪さんだねぇ、真子ちゃん」
「えへへ、ありがとうございます」
篤志くんの打つコシのあるうどんを気に入って常連になってくれるお客さんも多くいて、うちの店はそれなりに繁盛していた。
「天ぷらうどんと味噌煮込みうどん定食お願いします」
「あいよ」
お店はそれなりに忙しいけれど今のところ夫婦ふたりで切り盛り出来ている。
もちろん大変な時だってあるけれど、それでも好きな人とずっと一緒にいられる幸せを結婚してからも実感していた。
──そんないつものある日のこと
「あの、か、彼氏、いますか?!」
「……は?」
「オレ、ずっとあなたのことをす、す、好き、で……」
「……」
ここ連日、お店に通って来てくれていたお客さんからいきなり告白された。しかもお昼時、お客さんで溢れている店内で。
「おぉ、生告白だぁ」
「やっぱり真子ちゃん、モテるねぇ~」
「そりゃ、かのう屋の看板娘だからな」
面白可笑しくはやし立てるお客さんたちを余所に告白して来た彼は真っ赤になりながらもとても真剣な顔つきで私を見つめていた。
(うわぁ……この人、真剣だ)
彼の顔を見ただけで冗談でも面白がってでもなく、きちんとした気持ちで告白してくれたのだと分かった。
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