第20話 凍道チャンネル「聖武天皇天然痘使い説①」

「はいこんいて~、歴史を認知プロファイリング、凍道チャンネルのお時間です。今日は、前回紹介した『崇神天皇、天然痘と天然痘ワクチン使って天皇になった説』を予告どおり広げていきたいと思います」


『こんいて~』『ライブうれしいのだ』『こんいて~』『こん~』


「こういった発見一つが他にも当てはめられるのは非常に楽しいよね。例えば、前の前かな?明智光秀と豊臣秀吉が正親町天皇のスパイでは?説をやったじゃん?光秀の妻である熙子って、光秀に嫁ぐことが決まったと同時に天然痘にかかり、痘痕があったけど明智光秀はそれでも妻にしたって美談が残ってるんだよ。でもこれ、光秀が種痘したら副作用で痘痕が出たんだとしたら?」


『ワクチンした責任とってよねのだ』『いきなり面白いのだ』『【50000円】いつも楽しみに見ています。でも天皇陛下に不敬な内容はやるべきではないと思います。別の話題を希望します』


「おおっ?赤スパチャ?5万円もありがとうございます、えーっと、天皇陛下に不敬な内容かー。うーん、5万円も貰ったら真面目に答えないとな……」


『不敬罪でアカデミアBANなのだ』『もうされたのだ』


「うるせーw」


「えっと、俺は過去の天皇が天然痘の知識というチートで戦っていたかもしれない、という仮説が不敬だと思っていません。崇神天皇も、今日紹介する聖武天皇とかも、当時の知識と情勢にあって、全力を尽くして争っていたんだと思います。ましてや、もしこれを裏付ける資料でもみつかった日には、古代において唯一ワクチンの発想までしてた超絶すげえ国なんだぜ!って誇れると思うんですよ。別に南北朝に分かれて争ったり、こいつ暗殺されてるなって天皇とかいっぱいいるわけだし、ましてや、神ではなく人間だということになった現代において、過去の歴史を研究するときにまで不敬罪とかいって遠慮していたら、歴史の真実は紐解けないと思います。真実とは、問いかけることにこそ、その意味もあれば価値もあるのですから。こんな感じでいいのかな?」


『梁山泊の一同に代わって礼を言おう!』『よくぞ耐えたぞ草間大作!』


「わかるやつ多いなwおっさんばっかりか?」


『ギクッ』『【50000円】それでも天皇陛下への不敬は気分が悪くなる人もいると思うのでやめておくべきじゃないでしょうか』


「わっまた5万円?スパチャありがとうございます……うーん…………ごめんなさい、スパチャしてもらっても、今日は聖武天皇のネタでやります。一通りこの天然痘使いのネタ終わったあとなら、指定してくれたネタで1回やってもいいんで勘弁してもらえますか」


『石油王のだ』『5万円2連発はすごいのだ』『ブルジョワのだ』


「あれ?いなくなっちゃったかな?ま、じゃあ聖武天皇の話に戻る前に、まず天然痘についておさらいしておこうか。俺らは、根絶された、牛痘(ほんとうは馬痘)ワクチンが効果のある、この天然痘という病気の名前を知っているね?」


『こないだ知った』『ネットでみた』『名前は聞いたことある』『今知った』


「でもこの『天然痘』って名前がそもそもどこからでてきたのか不明なんだよ。古代から江戸時代末期までは、疱瘡神という病神がもたらす疱瘡、痘瘡と呼ばれたり、中国由来の名前では、天からの災いとして天花と呼ばれていたらしい。じゃあ天然痘と呼ばれるようになったのはいつなのか?それは種痘(牛痘ほんとうは馬痘ワクチン)がジェンナーによって発見された1800年頃のあと、1830年頃から急に天然痘という名前が出てくるんだよ。天然痘とは「天然に発生する、つまり自然から生まれた痘瘡」といった意味だ。言い直そうか。『それまでは天の災いや神の祟りとして名前がついていた病気が、種痘が広まったら、天然の病気だよという名前に変わった』ようなんだよ」


『はえー怖くなってきたのだ』『知らなかった……そんなの』


「どうだい?天然痘って病気だと覚えてただろう?でも呪術廻戦でも疱瘡婆って疱瘡神が渋谷事変ででてきたよね。その通り、昔は神や天の災いと見られていた病気なんだよ。それが、種痘によって対応された途端、「天然由来の病気ですよ!」って名前にビタッと置き換わった。置き換えようとしたのは誰だろうね?面白いよね。ちなみに、歴代天皇のうち、天然痘にかかったので有名なのが、今回紹介する聖武天皇と、明治維新の時に天然痘で急死したとされる孝明天皇の二人だね」


『そりゃあ天の……おや誰か来客のだ』『きゃ~のだ』

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