首の女
ツヨシ
第1話
山に行った。
彼女と二人で。
俺も彼女も山が好きだ。
それが理由で付き合っていると言っても過言ではない。
小さな川の河原で、二人で写真を撮った。
見てみて驚いた。
俺と彼女の間に、若い女の首があるのだ。
首だけで浮いている。
はっきりと写っていた。
びっくりするほどかなりの美人で、その眼力が半端でない。
「なにこれ、気味が悪いわ」
「なんかの不具合だよ。気にすることはないさ」
俺も無茶苦茶気味が悪かったが、何事もない風にふるまった。
「そんな写真は削除しといたほうがいいよ」
「わかったわ」
その後はそんな写真などなかったかのよう、山を満喫した。
数日後、気づいた。
ネットである写真が話題になっている。
それはあの山で撮った写真だった。
けっこうバズっている。
さすがに俺と彼女にはモザイクがかかっていたが、首だけで浮いている女にはモザイクがかかっていなかった。
――あいつ、削除するといったのに、ネットにあげていたのか。
さまざまなコメントがされていた。
大半は「はっきり写りすぎている」「フェイクだ」と否定する声が多かったが、中には「本物も心霊写真だ」と主張する声もあった。
それ以上に多かったのは、首だけの女がとにかく美人だと言う声だ。
「その辺の女優より断然きれいだ」「ぜひ嫁に欲しい」などのコメントが数多くあった。
バズった一番の原因は、なんと言ってもこの女の美貌だろう。
みんな美人には関心が高いのだ。
――それにしてもこんなに注目されるなんて。
俺は彼女に電話した。
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