-ファンタナの木-

5歳の時にはパパの会社のハイキングイベントに

パパとママと3歳の弟と参加した時に

とても神秘的な体験をした。



会場には同い年ぐらいの男の子と女の子がいて

わたしたちはすぐに打ち解け

仲良く3人でハイキングした。



お昼休憩の広場まで到着すると

おにぎりを一つだけかじって早々に

3人で探検に出かけた。

「遠くへ行っちゃだめよ~」

「は~い」



わたしたちは夢中で遊んでいたら

知らず知らず山の奥の方まで来てしまった。



たどり着いた場所はとても神秘的な場所で

女の子が

「あっ!あれ見て!

ファンタナの木あったよ!」

と叫んだ



歩道のすぐ横は崖

崖の下には澄んだ緑色の植物が敷き詰められていて、

その奥に存在感のある緑豊かな木が1本、

光輝いていた。



わたしも『やっと見つけた』と思った。



「しずくちゃんは待ってて!わたしちょっと見てくる!」

と女の子は張り切って崖を下りようとしたが、

すぐに足を滑らせ、とっさに男の子が手を取った。



「わかった。私がいく!」

やめた方がいいと言った男の子の言葉を振り切って


運動神経には自信があったわたしは、

ひょいひょいとリズムにのって下まで降りて行った。



少し調子に乗っていたせいか

次の瞬間足を滑らせ

そのまま落下してしまった。



意識を失っていたのか

頬をなめられた感触で目を覚まし



うっすら目を開けてみると

『まっていたよ』という声とともに

白い犬、白い鹿、白いうさぎ・・・

他にも白い動物たちがたくさん見えたのを覚えている。



そこから記憶は途絶え、次に気が付いたのは

2日後の病院だった。

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