第12話「研究者たちの饗宴」
「はい、では魔力料理研究会議を始めます」
リリアが真面目な表情で議事進行を始めた。テーブルを囲むのは一郎、エマ、そして新メンバーのフェリシア。
「まず、キノコ暴走事件の検証から...」
「あの」エマが手を挙げる。「お茶とお菓子、先にしない?」
「えっ」リリアが慌てる。「でも研究が...」
「私も賛成!」フェリシアが目を輝かせる。「お菓子食べながらの方が、アイデア出やすいですよ!」
「そ、そうですか?」
「ほら」エマがワゴンを押してくる。「今日の新作、『魔力の結晶ケーキ』です!」
透明なゼリーの中に、リリアの星とエマの虹が閉じ込められている。まるで宝石のよう。
「わぁ...」フェリシアが食い入るように見つめる。「これはどうやって...くしゅん!」
薄紫色の蝶型の魔力が、ケーキの上で舞い始めた。
「あ!フェリシアさんの魔力くしゃみ、蝶々なんですね!」
「えへへ...」フェリシアが照れる。「私、実はケーキを食べると出やすくて...」
「研究データとして記録!」リリアが急いでメモを取る。
「おや?」一郎が気付く。「蝶が...ケーキに溶け込んでる?」
見ると、魔力の蝶がゼリーの中に入り込み、星と虹と一緒に舞っている。
「これは...」リリアが興奮気味に立ち上がる。「三種の魔力が...くしゅん!」
新たな星が加わり、ケーキの中は幻想的な光のショーと化した。
「私も!」エマも負けじと。「くしゅん!」
「データを取らないと...くしゅん!」
「あの」一郎が冷静に指摘。「ケーキ、溢れそうです」
光り輝くゼリーは、既にプレートの端まで膨らんでいた。
「きゃっ!」
「大変!」
「止めないと!」
...しかし、誰も具体的な対策を思いつかない。
「食べちゃえば?」フェリシアが無邪気に提案。
「えっ?」
「だって美味しそうだし♪」
単純だけど、確かにその通り。
「では」一郎がフォークを取る。「いただきます」
口に運ぶと、ふわっと溶けていく食感。そして、様々な魔力が織りなす不思議な味わい。
「美味しい!」
「これは新メニューになりますね」
「研究データとしても価値が...くしゅん!」
気付けば全員が、魔力くしゃみの連鎖反応を起こしている。
店内は星と虹と蝶で埋め尽くされ、まるでファンタジーの世界。
「あの」エマが思いつく。「これ、お客様の魔力くしゃみも集めたら、もっと素敵なケーキになるんじゃ...」
「それだ!」フェリシアが飛び上がる。「みんなで作る魔力スイーツ...くしゅん!」
「待って!」リリアが必死に制止。「まずは安全性の検証が...くしゅん!」
一郎は心の中でつぶやく。
(なんだか研究会議とは違う方向に...でも、これはこれで面白そうだな)
...誰も気付いていなかった。
窓の外で、今度は金色のローブを着た人影が、この様子を見守っていることに
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