第8話 平凡な盆

 2019年8月。世間が忙しなく、動き回る季節になった。盆には迎え盆と送り盆がある。迎え盆は盆の初日夕方に、送り盆は盆最終日の夕方に執り行う。僕達、新入生の大学1年が盆を楽しんでる間に、先輩方は泣いたり、笑ったりする季節に入っていた。

 8月は公務員試験の発表がされることがある。8月は就活でいう後半戦であり、この段階で決めたいと意気込んでいる人がほとんどだ。公務員試験は、応募数が多い割に、枠が少ない。やる気があって真面目であっても、点数が低ければ通らない。不条理な仕組みになっている。

 たまにゼミで先輩方と集まり、就活の話が出て上手くいっている人と順調じゃない人の雰囲気がパッと分かって気まずくなった。

 自分も、こうなってしまうんだろうかと少しだけ未来を見た気持ちになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る