ほんもののサンタクロース

濡花 詩雨

ホンモノのサンタクロース

ぼくはホンモノのサンタクロースである

このことはまだだれにも話していない

クラスの麻衣ちゃんにも、お父さん、お母さんにも、

2人のいもうとにも、おともだちにも


しんじつを話してしまうとみんなおどろくと思う

サインをして欲しいとかいっしょに写真をとってほしいとか言われてしまう


そのときのためぼくは自分のサインをかんがえた


まいちゃんには将来結婚を迫られてしまうだろう

ただしまだホントウの事は話さない

そんなけいはくな事をするのは子どもじみているのをぼくはしっているのだ


ぼくはせいしん年れいが高いからそんな事はしない

ぼくはホンモノの大人なのでそういう事はちゃんと分かってるのだ

ぼくは小学校4年生である


小学校4年生ともなるともうほとんどホンモノの高学年である

低学年と違いほとんどもうホンモノの社会人にちかい


ガストに家族で出かけてもお子さま用のメニューをたのむような事はしない

2人のいもうとがお子さまランチをたのんでもしないのだ

おいしそうなケチャップライスもアイスクリームもぼくにはかんけいない


いもうとから一口もらうだけである


ニセモノのサンタクロースをおとうさんがやっていて

クリスマスイヴにぼくの枕元におもちゃをおいていることを知ったのは

ぼくがむかし小学3年生のころだ


そのとき、ぼくはまだ子供であったので身長も135センチに届いてなかった

いまは言うまでもなく135cmの大台にのってる

                

1週間後にクリスマスイヴがやってくる

ぼくはその時にニセモノのサンタクロースのおとうさんが気持ちよく

ぼくの枕元におもちゃをおいていけるよう、10時にねるくんれんをつんでいる

もし10時になって、ぼくがねれなかったら

こんどはお父さんが先にねむけに勝てなくなり、あきらめてねてしまうかもしれない


そして今年はぼくがホンモノのサンタクロースとして

はじめてクリスマスイヴをむかえる年である


ことしも日本中のニセモノのサンタクロースのおとうさんが

子どもの枕元におもちゃをおけるようぼくはいのっている


そしてホンモノのサンタクロースであるぼくができることは

クリスマスイヴの夜10時にねむることだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ほんもののサンタクロース 濡花 詩雨 @nurekashigure

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画