古いビデオ

天川裕司

古いビデオ

タイトル:古いビデオ


俺は古いビデオをお店で買って

それを家で見た。でも…


「………え、なんだこれ。これだけ?」

古い廃屋を背景に、

ずっと1人の女がこちらを見て立って居るだけ。

それを延々ただ見せるだけで、

一向に画面は動かない。


確かにそこに立ってる女は

この世のものでは無いような演出が施され、

白い服を着て、幽霊を演じて居るかのようだった。


でも周りの背景が何も動かず、

アクションすら無く、

ただその光景をずっと

眺めさせられて居るだけになると、

放送事故か?とも思えるほど、

普通の作品ではないような気がしてくる。


でもその「普通の作品ではない」と言うところに

恐怖があると言えばあると思った。


しかし、やっぱり飽きてきた。これは駄作。

「…こんなのずっと見てらんないよ」となり、

「あ〜〜失敗したなあこれ」と思え、

早速返そうと思い、

デッキからビデオを取り出そうとしたその時。


画面から目を離して又ふと画面を見ると、

「…あれ、さっきと違う?」

女の子の体の向きが少し違った?


それから俺は何度か画面から目を離し、

また画面を見る、この繰り返しをしてみた。


するとやっぱり女の子が微妙ながら動いてる。

まっすぐこっちを見て立って居たのに、

体の向きが少し右になったり左になったり、

そしてさらに…

「…これ、近づいてきてるのか…」

と女の子の体のサイズが

少し大きくなってることに気づく。


ちょっと興味を持ち始めた俺は、

さらに画面から目を離してまた見る、

その行動を続けた。


「うわっ…」

すると最後に見たその画面には、

おぞましい女の顔がいっぱいに写っていた。


「なるほどこうゆう演出か…」

とその時やはり気が動転してそう思ったが、

俺の行動に合わせて画面が変わるなど、

どう考えても不可解なこと。


でも元々ホラー好きだった俺は

最後にもう1度だけ画面から目を離し、

また画面を見た。

でもこれがあとから考えると

しなきゃよかったことだった。


そうした直後、俺は褐色の世界に居て、

後ろには廃屋の懐かしい風景が広がっていた。


そして俺の部屋では1人、

さっきのおぞましい顔が笑ってた。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=V9PNaxMIqZk

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

古いビデオ 天川裕司 @tenkawayuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ