異世界転移:2日目〜3日目 スキルツリー編
第11話 2日目:現状把握
「……うわあ」
「わふっ……」
視界に浮かぶメッセージの中に、”運営からのワールドニュース”という物を見つけたので読んでみた。
これは、酷い。
俺のムカデ戦の動画が100万再生?
運営の奴、録画していたのか?
どこで!?
最悪の悪目立ちじゃないか……。
いや、自分の事は後でいい。
それよりも重要なのは――。
初日はかなりハードだった事実だ。
最悪なのが、自殺者が出ている。
確かに、異世界転移などという事を受け入れられず、ログアウトの可能性を信じて自害するというのも手の1つではある。
だが。
「……リスクが高すぎるな」
俺はこの世界が夢やゲームの世界とは思えない。
スキルを使ってのモンスターとの戦い。
ヤバ女の唇の感触。
そして、今俺の背中にぴとっとくっついているモフモフワンコの毛の感触。
どれも、現実のものとしか思えない。
当面の間は、この世界で生き残る事を目的に生活するのが一番だろう。
そうすると、色々問題が出てくる。
「……衣食住、どうしよう」
「わふ」
俺の職業、薬師は世界観的に文明社会からあまり歓迎されるものではないらしい。
植物園の夢でエルマから渡された分厚い本。
これのアイテムテキストも、死罪だのなんだの書いてある。
いっそ捨てるかとも思ったが、なんとなく重要なイベントだったような気がするし。
何より、エルマという女が怖いので一応は持っておこうと思う。
という事で、今俺の状況としては――。
・衣食住を整える必要がある。少なくとも今、人里へは近付けない。
・スキルの訓練も継続する必要がある。モンスターや脅威に襲われても戦う力が必要だ。
・わんこの世話
現状が、こんな感じだ。
考えてみると、昨日から何も食べていない。
もともと、1日1食で大丈夫なタイプだったが、かなり腹が減っている。
水分補給も必要だろう。
という事で、まずは小川で水を飲んでみる事にした。
生水はあまりよくないと知識では知っているが……
~~~~
”毒喰らい”により、貴方は飲食で中毒状態になる事はありません
~~~~
そこはスキルでカバー。
流れる水を手で掬い、一口、二口。
「わふ」
ぺろぺろ。
俺の隣でわんこも、水をちゃっ、ちゃっ、と音を鳴らしながら飲み始める。
冷たい水が喉の渇きを癒す。
うん、悪くない。
だが、この水、ナニか違和感があるな。
臭みや雑味が、全くない……?
水ってこんなに無味無臭だったけ?
「わん!」
まあ、犬も満足そうだしいいか。
しかし、俺はここで問題に直面する。
~~~~
素材感知Ⅰ
効果:周囲にある素材を感知出来る。可食性も判別可能
~~~~
周囲に、赤いぼやっとした光が見える。
薬師スキル”素材感知”を使用。
低木に生えていた果物を発見、採取。
リンゴに似ている果実だ。
川の水で簡単に洗い、食す。
すると……。
「あれ? 味がしねえ……」
みずみずしい果汁の冷たさ。
しゃきしゃきの果実の食感。
完全に美味い果物の気配なのに、味がしない。
わんこも同じものを一口で平らげている。
「わんわん!」
なんか喜んでいる……食材に問題があるようには思えない。
という事で、また素材感知を使い、近くの森から手当たり次第に可食可能な果物系を集めてみる。
ベリー系、ブドウ系、スターフルーツ系……。
それらを、1つずつ食べてみると……。
「――全部、味がしねえ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます