第53話

「そんな...... ロード総隊長がディシースト」


「ええ、でもまさか、私たちに歯向かう組織をつくるなんて思ってもみなかったわ」


「本当ですか! ロード総隊長!」


「......そうだ」


 そうゆっくりとロード総隊長が答えた。


「な、なんで、それじゃあ黒き使徒ブラックアポストルをつくったんですか!」


「さっきいったでしょう。 私たちはそれぞれ自我がある。 こいつは私たちを裏切り、あの方を倒し隠した」


「あの方......」


「私たちをつくった方よ。 救いを与えてくださる方...... ロード返してもらえるかしら」 


「愚かな...... あの方を得てもお前たちは救われない」


「......説教なら聞きあきたわ」


 リジェクトが腕を降ると、飛びかかる鳥たちがロード総隊長をおそう。


「やめろ!」


 ぼくが散弾蟻シェルショットアントをはなつ。


「無駄よ......」


 それらをリジェクトが容易くはじいた。

 

「その腕は、また......」


 リジェクトの体が獣のように変じる。 そして地面から石の槍を作った。


「さあ、あなたもこっちへきなさい。 当然あとでミーシャもね」


 多くの犬猫、鳥たちがこちらへ迫る。


「くっ! この数!」


「彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 金獅子ゴールドレオ


 黄金のライオンが犬猫たちをなぎはらう。


「隊長!!」


 そこにはカイル隊長がいた。 


「遅れてすまないクルス。 六番隊にも裏切り者を送られていた...... 後から皆やってくる」  


「ミーシャは!」


「すこし怪我をしているがライミーアにまかせた。 大丈夫だ」


「よかった...... いや、ロード隊長が......」


「......ああ、どうやらそういうことらしいな」


 カイル隊長は、ロード総隊長をみながらいった。


「またあなた。 ずいぶん邪魔をしてくれるじゃない」


「当然だ。 やつは元気か」


「前の大戦であなたと戦った【ワイズマン】かしら」


「そんな名前か。 初代大統領の名前とはなめているな。 俺がかつて所属した部隊を壊滅まで追い込んでくれた礼をしたくてな」


「あなただってワイズマンを瀕死にまで追い込んだでしょ」


「どうせ死んでるんだ。 問題なかろう」


「......いうわね」


 リジェクトは獣のような動きで、動くと隊長に槍で襲いかかる。 石の槍はたわむほど曲がり地面をくだいた。


「隊長!」


「ここは俺にまかせろ。 お前は隙をみて、ロード総隊長を救え。 彷徨える魂よ、我が声に答えよ【金隼】《ゴールドファルコン》」


 そういうと銃をうちだす。 弾丸が金色のハヤブサとなり、リジェクトの腕を切る。


「くっ! なめるな!」


 そのハヤブサを獣の腕でとらえる。


「彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 【金磯巾着】《ゴールドアネモネ》」


 ハヤブサがイソギンチャクとなって、触手がいくつもの腕に絡み付く。


(うまい! 流れるように拘束した)


「なんだこれは! 取れない!」


 リジェクトがはずそうともがくがはずせないようだ。


「それは触手の刺胞がささってぬけなくなる。 クルスいまだ!」


 ぼくはロード総隊長に向かってはしる。


「クルス!!!」

   

 カイル隊長の声で見ると、リジェクトはその腕でこちらに石の槍を投げた。 そしてそれは一瞬で目の前に迫っていた。


「し、しまっ......」


 体がおされると、ロード総隊長がその槍に貫かれた。


「ぐっ......」


「ロード総隊長!!!」


 その傷口から大きな星幽石がみえた。 それは左右で赤と青色に光る。


「二つ......」


 リジェクトの星幽石が砕ける音がする。 カイル隊長がこちらに走る。


「総隊長......」


「か、カイル、今すぐこの星幽石を壊すのだ...... これは復活させてはならない。 速やかに破壊しろ。 私では壊せない」


「......わかりました」


 カイル隊長は金の剣をふりあげた。


 その瞬間、ぼくとカイル隊長は吹き飛ばされた。


「ぐっ!」


「がはっ!」


(な、なんだ......)


 見るとそこには上半身が獣のようなものがいた。


「人狼、ま、まさかリジェクトか......」


「確実に星幽石を、きりさいたはずだ」


「ええ、私の上半身の子は殺された...... お陰で私は助かったわ」


 そういうとロード総隊長に近づき、その腹から赤い星幽石を無造作にちぎるように砕いてつかむ。


「がっ......」


「まさか、体内に隠しているとはね。 でもこれで」


「隊長!!」


 ライミーアさんたちがやってきた。


「ここはひくしかなさそうね......」


「捕らえろ!!」


 カイル隊長の声でライミーアさんたちが動くが、獣のような動きでリジェクトは階段をかけのぼっていった。

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